3人家族のマイホーム計画は、理想の生活空間を一からつくる喜びを味わえると同時に、どのように進めたらいいか迷うことも少なくありません。特に生活の質を左右する間取りをどうするかは悩ましい問題ですね。
この記事では、3人家族の家づくりにおける間取り選びのポイントやおすすめのアイデア、注意点などを紹介します。間取り別の特長についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
3人家族の間取り選びの前に考えておきたい項目
マイホーム計画の中でも、間取り選びは大変ながらも楽しい作業です。ただし、間取り選びは今から数十年生活する環境づくりの軸になる要素ですから、間取り選びの前に「新しい家でどのように暮らしたいのか」を明確にしておく必要があります。
間取り選びに先立って考えておきたい項目をまとめました。
ライフプランや将来の家族構成の変化
3人家族の間取りを考える前にまず家族で話し合っておきたいのが、ライフプランです。生命保険の比較検討などでよく使われるライフプランですが、家づくりにおいても大変重要です。既にほぼ決まっている子どもの進学や就職などの時期だけでなく、両親との同居や介護の有無、子どもの独立や結婚、住宅のリフォーム時期なども含めたシミュレーションをしておかなければいけません。
さらに、将来的な家族構成の変化も考慮したいポイントです。現在は夫婦と子ども1人の3人家族でも、将来的に子どもが増える可能性があるなら、それを念頭に置いて間取り選びを進めることになります。子どもが成長し独立した後の生活に合わせて変えやすい間取りにしておくなど、家づくりの時点だけでなく10年後20年後30年後も見据えた間取り選びができるよう、ライフプランや家族構成の変化の可能性について整理しておきましょう。
家族のライフスタイル
家族のライフスタイルに合う間取りかどうかというのは、間取り選びにおいて重要です。例えば、頻繁に来客がありホームパーティーなどを開くことが多いなら、広めのリビングやゲスト用のスペースが欠かせません。長年親しんでいる趣味があれば趣味のための個室があると満足度が上がりますし、在宅で勤務できる職業なら独立した仕事部屋は必須です。ペットを飼っているなら、ペット用のスペースを入れた間取り選びをしなければいけません。
間取り選びにおいて大切なのは、人が家に合わせて妥協するのではなく「人の生活に合った家をつくっていく」という考え方です。「こんな間取りだといいな」という憧れを形にするという視点に加えて、「今こういう間取りだから住みにくい」という不満を解消するという視点も持ちながら間取り選びを進めてみてください。
収納量
マイホームの間取り選びにおいて、収納計画はつい後回しにしてしまいがちです。しかし、新居での生活を始めてから不満を感じやすいことのひとつが収納量の少なさと言われています。暮らし始めた当初は足りていた収納スペースも、家族構成やライフステージの変化で所有物が増えてスペースが足りなくなってくるのです。
家族の人数が変わらなかったとしても、子どもの成長によって学用品や部活・趣味の道具など所有物はまず増えると考えておきましょう。また、単に収納できるだけでなく、使いやすいことが重要です。日常的に使うアイテムや季節ごとのアイテムなど、使用頻度によって使いやすい収納位置は異なるので、収納物と収納場所の配置のバランスを考えながら収納計画を立てましょう。
3人家族に必要な広さ
国土交通省の『住生活基本計画』 では、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積水準として、次のような指標が示されています。
・都市居住型誘導居住面積水準(いわゆる都市部):20㎡×世帯人数+15㎡
・一般型誘導居住面積水準(郊外および都市部以外の一般地域):25㎡×世帯人数+25㎡
家族のライフスタイルや居住地、土地の敷地面積、価値観、生活に関する優先事項などの条件によって必要な広さは異なりますが、一般的には65〜100㎡程度が目安と言われていますので、この指標とほぼ合致します。広めのLDK(リビングダイニングキッチン)で開放的な雰囲気を重視する、家族それぞれの独立性を重視して個室を多めに配置する、収納スペースを多めに確保するなど、優先したい条件を踏まえて必要な広さを考えていくと決めやすいです。
前述したライフプランや新しい家での理想のライフスタイル、収納量などのバランスも考えながら間取り選びを進めていきましょう。
3人家族で住む場合の理想的な間取りとは
一般的に、間取りの構成は個室の数+LDKで表示されます。3人家族が暮らす場合、間取りによってどのような特長の違いがあるのでしょうか。間取り例を参考にしながら見ていきましょう。
2LDK
2LDKは、2つの個室とLDKで構成されている間取りです。
全体的にコンパクトにまとまる間取りで、平屋でも大きな床面積は必要ありません。どの部屋からも浴室や洗面室、トイレなどの水まわりスペースへの移動距離が短く、夫婦と子どもそれぞれのプライベートスペースもしっかり確保できます。
一方で、家族が増えた場合個室が不足するという問題が出やすいです。個室を就寝や収納の場所にして、勉強はリビングで行うリビング学習スタイルを取り入れるなど、空間の使い方に工夫が必要になるでしょう。
提案実例 2LDKの間取り
洗面からサンルーム、キッチンは回遊できる動線を確保し、行き止まりの無い広さを感じさせる提案
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3LDK
3LDKは、3つの個室とLDKで構成されている間取りです。
家族一人ひとりが個室を持つことができるため、LDKなどのパブリックスペースと個室のプライベートスペースのバランスが取れた間取りと言えます。夫婦が寝室を共有する場合は、残った1部屋をファミリースペースや書斎などライフスタイルに合わせて使えるのもメリットです。来客が多いならゲストルームにしてもよいでしょう。
ただし、家全体の床面積によっては、狭めの個室ができる可能性があります。狭めの個室が多いと家具が置きにくい・閉塞感があるなどの理由で使い勝手が悪くなることがあるため、3室必要かどうかをよく検討することが大切です。
提案実例 3LDKの間取り
小上がりのたたみスペースがLDKからつながり、子どものためのスペースを確保。LDKとは異なるくつろぎ方を楽しめるように計画。
2階には水回り、プライベート空間、クローゼットを集約し、朝の身支度や洗濯で効率的な動線となるよう提案。
4LDK
4LDKは、4つの個室とLDKで構成されている間取りです。
家全体の床面積が大きくなる分、ゆったりとした雰囲気を楽しめる間取りで、将来的に家族が増える可能性がある場合はおすすめです。個室の広さやレイアウトによっては書斎や納戸、シューズインクローゼットといったスペースも確保しやすいだけでなく、親との同居が必要になった場合も対応しやすいでしょう。
1つ1つの部屋の面積をある程度確保したいなら、狭小土地では難しいです。部屋数が多くなりそれぞれがプライベートな空間を所有するため、各自のプライバシーが確保しやすい反面、家族間のコミュニケーションを意識的に取る必要があります。
提案実例 4LDKの間取り
水回りとキッチンで回遊動線をつくって家事効率を考慮した間取り。
2階にはサンルーム、ファミリースペース、セカンドリビングなど多目的に変化できる余白を多めに確保。
3人家族の間取りにおすすめのアイデア
理想とする暮らし方によって、適した間取りもさまざまです。間取りの正解はあってないようなものなので、間取り選びの取捨選択の幅を広げるためにも多種多様なアイデアを知っておくといいですね。
3人家族の間取りを決める上でおすすめのアイデアを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
家事室
ユーティリティスペースとも呼ばれ、洗濯物を畳んだり、アイロンがけをしたりする家事専用スペースを指します。家事をするための場所なので、狭めでも家事効率は上がりやすいです。家事関連のアイテムやストック類をまとめて収納しておけるため、他の部屋まで取りに行く必要もありません。
小上がり
リビングの一角に設けた30~45cm高さのスペースを小上がりと呼びます。小上がりは、元々は伝統的な日本家屋において土間から靴を脱いで上がる仕切りのない空間を指していました。現代では、室内空間の一部分の床を上げて造作したスペースという意味合いが強いです。
室内の床よりも高い位置にあるため、キッズスペースとして使えば床のホコリや汚れを気にせずに済みます。スペースに入って過ごすだけでなく、端に腰掛けてくつろぐことも可能です。また、小上がりの下を収納にすることで、スペースの有効活用にもつながります。
書斎
引用:ピアノ室、書斎、吹き抜けリビングなど、ご夫婦の夢が詰まった家
在宅勤務の仕事をしている、静かに集中して取り組みたい趣味があるという場合は、書斎を設けるのがおすすめです。人は視覚から多くの情報を取り入れるため、できるだけシンプルな内装にした書斎にいると不要な視覚情報をカットできて集中しやすいのです。書斎は2畳程度あれば十分機能するので、間取り選びにおいて他のスペースへ与える影響も大きくありません。
サンルーム
洗濯物を干したり家族でくつろいだりと多目的に使用できるサンルームは、共働き世帯や小さな子どもがいる世帯にとって使い勝手のいい空間です。天候に左右されずに洗濯物を干せるため、仕事中に突然雨が降っても洗濯物が濡れる心配がありません。冬場には自然光によって暖かく過ごせるので、公園などにお出かけしなくても遊べます。家の中が自然光で明るくなる効果がある点もうれしいですね。
ファミリークローゼット
家族全員の服を一箇所にまとめて収納できるファミリークローゼットがあると、個室の収納スペースを減らして広く使えるというメリットがあります。洗面脱衣室と隣接させておけば、洗濯物を畳む時間が短縮できますし、服の管理もしやすいため家事の時短化につながるでしょう。
3人家族の家の間取りを考える際のポイントと注意点
3人家族のマイホーム計画を成功させる上で、間取り選びはとても重要な要素のひとつです。検討段階で押さえておきたいポイントと注意点を紹介します。
夫婦の寝室を分けるか
夫婦の寝室を分ける場合と同じにする場合とどちらが暮らしやすいかは、夫婦のライフスタイルによって異なります。たとえば朝型と夜型で生活リズムが異なる、在宅勤務で夜遅くまで仕事をすることが多いといった場合は、就寝時間が異なることが多い分寝室を分けた方がお互いに熟睡しやすいかもしれません。
寝室を分けるとすると、3LDK以上の間取りが必要になるため、家全体の床面積から考えてレイアウトできるかどうかを検討しましょう。
趣味の部屋をつくるか
夫婦や家族それぞれに趣味がある場合、個人で楽しめる専用スペースが必要かどうかは事前に十分検討しておきたいポイントです。音楽が趣味ならば楽器を演奏できる部屋、読書が好きならば集中して静かに過ごせる部屋が必要かどうかを考えておくとよいでしょう。家族で趣味を共有したいなら、個別の趣味の部屋を設けずに広めのファミリースペースをつくるといいかもしれません。
LDKの広さと個室の数どちらを優先するか
家全体の建築面積を変えられない場合、家族全員が使うLDKや水まわりの広さと個室の数のバランスをどう取るか、よく話し合っておく必要があります。LDKの広さを優先すれば、家族が一緒に過ごすスペースがより快適になりやすいですし、個室の数を優先すればプライバシーを確保しやすくなります。どちらが家族にとって重要かを見極めながら間取り選びを進めましょう。
生活動線はスムーズか
たとえば、朝の忙しい時間帯は、着替えや身だしなみの準備、調理や洗濯などの家事など家族それぞれの生活動線が重なり合います。重なるだけなら問題はありませんが、動きにくかったり一定時間動けなかったりすることが多いと、その間取りは家族にとって適していないということになってしまいます。間取りがある程度固まってきたら、起床してから就寝するまでの生活動線を図面上でシミュレーションし、滞りがないかをチェックしましょう。
長期視点で考える
マイホーム計画においては、現在の家族の状況だけでなく、将来的な変化も見据えて間取りを考えることが大切です。子どもの成長に伴うライフスタイルの変化や老後の生活など、数十年先の生活もある程度想定して間取り選びを行うことで、長く快適に住み続けられる間取りが選べます。将来的に子どもが独立した後簡易なリフォームで使いやすくできる、年齢を重ねて体力が落ちても浴室やトイレに移動しやすいなど、長期視点で考えましょう。暮らしやすさだけでなく、リフォームの手間やコストも抑えられます。
家族の意見を取り入れて理想の間取りを!
3人家族に適した間取りは、現在のライフスタイルや今後のライフプラン、家族構成の変化などを視野に入れながら考えていくことが大切です。必要な広さや部屋の数、収納スペースを確保しつつ、快適性や機能性も考慮したプランニングをしたいですね。
そのためには、家族それぞれが意見を出し合って、優先したい条件と妥協できる条件を整理しておくことが欠かせません。子どもも小学生低学年くらいであれば自分なりの意見を持っていますので、子ども部屋の内装を任せてみるなど家づくりにぜひ参加させてあげましょう。
この記事を参考に、3人家族が笑顔で過ごせる間取りを選んでくださいね。