ゆとりを感じる一戸建てを建てたいと考えている場合、広い土地が必要です。100坪の広さの土地を持っている方や、今から100坪の土地を購入予定という方にとっては、どのような一戸建てが建てられるのか気になるのではないでしょうか。100坪もあれば、十分な広さの生活空間を確保した上で、庭や駐車スペースもある理想的な住まいが実現しやすいでしょう。特に子どもがいるご家庭なら、広い敷地を最大限に活用して子どもの遊び場を広々と取ることも可能です。
今回の記事では、100坪の土地に建てられる一戸建てのイメージや、100坪の土地に一戸建てを建てるメリットとデメリット、間取りのアイデアについて紹介します。家づくりの参考になれば幸いです。
100坪は何㎡?
「100坪」と聞いてもどれくらいの広さなのかピンとこない…という方は多いでしょう。坪数を㎡に換算すると1坪=約3.3㎡ですから、100坪は約330㎡の広さということになります。約330㎡というと。たとえば6レーンの25mプール約1個分、バレーボールコート約2面分などがほぼ同じ広さです。
これだけの広さがあれば、ゆったりとした家だけでなく、庭や駐車場もしっかり確保できます。日常生活に必要なスペースだけでなく、親子でのびのびと遊べるファミリースペースや趣味を楽しむ部屋を設けることも可能です。土地の条件や制約を確認した上で、比較的自由な間取りを検討できるでしょう。100坪の土地があれば、将来的に増築を視野に入れることもできるため、二世帯同居も計画しやすくなります。
100坪の土地に建てられる一戸建ての広さは?
土地が100坪あるとしても、その上に建てる一戸建ても100坪の広さになるわけではありません。どんな土地にも制限が決められているため、必ずその制限にしたがって設計する必要があります。ここからは、土地の制限としてチェックしておきたい「建ぺい率」「容積率」「用途地域」の3つについて見ていきましょう。
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の建築面積の割合です。建築面積とは、建物を真上から見た時の面積を指します。100坪の土地で建ぺい率が50%と定められている場合、最大で50坪(約165㎡)までの床面積の建物を建築することが可能です。建ぺい率が60%なら、建築できる建物の建築面積は最大60坪(約198㎡)となります。つまり、建ぺい率が高い地域であるほど、同じ100坪の土地でも建築面積が広い一戸建てが建てられるというわけです。
容積率
容積率とは、敷地面積に対する建物の総床面積の割合です。総床面積とは、階それぞれの床面積を合計した面積を指しますので、平屋なら1階の床面積、2階建てなら1階と2階の床面積の合計となります。1階と2階の床面積が同じ総2階建てを100坪の土地に建てる場合、容積率が60%なら全体で60坪(約198㎡)、各階の床面積が30坪(約99㎡)までの建物が建築可能です。ただし、先に述べた建ぺい率も同時にクリアする必要がありますので、間取りを検討する初めの段階でチェックしておきましょう。
用途地域
用途地域とは、建築できる建物の種類、用途の制限を定めたルールです。どんな土地にも、建築できる建物の用途や規模が決まっています。同じ住宅地であっても、低層住宅のみに限られる場合や商業施設が併設可能な場合など違いがあるため、建ぺい率や容積率と同じく事前の確認が必要です。今から土地を探すのであれば、用途地域の規制をしっかり確認してください。静かで落ち着いた環境を望む場合は、住居専用地域の土地を選んで一戸建てを建てるのがおすすめです。
間取り例
100坪の土地に一戸建てを建てる場合、どのような間取りの家が建てられるのでしょうか。建ぺい率40%、容積率60%という条件の100坪の土地に2階建ての家を建てると想定してみましょう。
まず建ぺい率と容積率から見た建てられる建築物の面積を確認します。
・建ぺい率40%:100坪×40%=40坪(約132㎡)
・容積率60%:100坪×60%=60坪(約198㎡) |
この条件を満たす間取りとして考えられるのは「1階30坪・2階30坪」「1階40坪・2階20坪」といった間取りです。各部屋の広さや廊下・階段などの通路スペースのレイアウトなどによりますが。5~6LDKの間取りとなります。比較的多くの個室を配置できるため、家族一人ひとりのプライベート空間を確保できる間取りといえるでしょう。
2階建てではなく平屋を検討するなら、4~5LDKの間取りになる可能性が高いです。上下の移動がない平屋は階段スペースが不要ですが、家全体が長方形で長辺が長い形状だと廊下を長く取らなければいけないなど、間取りによって確保できる部屋数は変わります。バリアフリー仕様にしやすいので、小さい子どもや高齢者がいるご家族にとっては住みやすいでしょう。平屋の間取り例はこちらの記事でも解説しています。
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仮に容積率がもっと高ければ、3階建ても検討可能です。1階を玄関ホールや趣味のスペースとし、2階にリビングダイニングとキッチンや浴室などの水まわり、3階に寝室や子ども部屋を配置するなど、7~8LDKの間取りが考えられます。上り下りの移動が伴うのがネックですが、一部スキップフロアを設けるといった変化を出すことで個性的な間取りがつくれるというメリットがあります。フロアが違うという独立性を生かして、ゲストルームを設けるといったアイデアもおすすめです。
100坪の土地に一戸建てを建てるメリットとデメリット
100坪という広さの土地があれば、間取りの自由度はかなり高く、庭やアプローチなどもゆったりとレイアウトすることができます。とはいえ、広い土地に家を建てることはメリットとデメリット両方があるため、本格的な家づくりに入る前に把握しておくことが大切です。
メリット1:間取りの自由度が高い
100坪という広さがあれば、間取りの自由度は高くなります。広々としたリビングダイニングにする、寝室に収納量が多いウォークインクローゼットを設ける、趣味室をつくるなど家族それぞれが心地よく暮らせる間取りをデザインしやすいです。将来的に増築を考えている場合も、敷地が広いため余裕を持って計画できるでしょう。
メリット2:庭を広く確保できる
土地が100坪あるため、床面積が広めの建物を建ててもさらに十分なスペースが残っています。家庭菜園やガーデニング、子どもの遊び場、アウトドアリビングなどさまざまなアレンジが可能です。庭に面したリビングやダイニングに大きな掃き出し窓を設ければ、リビングやダイニングから庭へと視線が流れるためさらに開放感が高まります。季節ごとの植物を楽しんだり、ペットを自由に遊ばせたりと家族みんなで過ごせる環境が整うでしょう。
メリット3:日当たりや風通しがよい
100坪の土地の中で建物をどう配置するかにもよりますが、土地の広さに余裕があるため隣家との距離を確保しやすい点は大きなメリットです。「隣家と近くてお昼過ぎから室内に自然光が入ってこない」といった悩みはほぼないでしょう。室内が明るいだけでなく、風通しのよさも魅力のひとつです。部屋の対面となる壁に窓やドアがあれば風が通るので、春や秋などの気候がいい季節には自然の風を感じながら家の中で過ごせます。
デメリット1:建築費用や外構費用が上がりやすい
敷地が広いと、建物の規模が大きくなる傾向があります。建物の規模が大きくなればそれだけ基礎や屋根、壁量が増えるため建築費用は上がる可能性が高いです。また、庭や駐車スペース、フェンスなどの外構にかかる工事費用も一般的な広さの土地と比べるとかさみやすいでしょう。フェンスの取付範囲が長い分フェンス本体と取り付け費用どちらも上がりますし、前面道路から建物までの距離が長ければアプローチとして整備する範囲が広がるからです。通常、外構費用は建物本体の建築費用とは別に見積りされる点に注意してください。資金計画を綿密に立てて、余裕を持たせた予算組みをしておくことが重要です。
デメリット2:建物や庭の維持費がかかる
広い土地に大きな建物を建てると、維持費も上がります。建物の屋根や外壁は定期的なメンテナンスが必要ですが、建物が大きいほどメンテナンスの範囲も広がるからです。大切な資産である家の価値を下げないためには、劣化状況を見ながら適切にメンテナンスしていかなければいけません。また庭の維持費もかかることを忘れずに。樹木や花、芝生などは定期的に剪定や植え替えなどが必要です。庭を広く取ると管理はかなり大きな負担になるため、すべて自力でしようとせず専門業者の手を借りることも検討しましょう。
100坪の土地に建てる一戸建てのおすすめ間取り
広々とした100坪の土地に建てる一戸建てのイメージをよりはっきり持つために、ここからはおすすめの間取りについて紹介します。間取り計画を立てる際のヒントにしてみてください。
おすすめ間取り1:インナーデッキを設けたゆったり感あふれる平屋
参考:住まいの発見館
庭との距離が近く上下の移動が不要な平屋は、各部屋の広さを確保しようとすると敷地面積がある程度ないと建てられません。100坪という広さを存分に生かして、あえて平屋にすることで、ゆとりを感じさせる間取りが実現します。隣家との距離を考慮して建物を建てれば、外部からの視線もきにならないでしょう。
おすすめ間取り2:タイルデッキを設けて開放的なアウトドアリビングを実現
参考:住まいの発見館
リビングとつながる庭にウッドデッキを設けるケースは人気ですが、最近はより高級感のあるタイルデッキを選択する方も少なくありません。軒下をつくってソファを置いたり、ウッドフェンスを立てて隠れ家のような雰囲気にしたり、室内のリビングとはまた違った開放感を得られると人気です。来客時のおもてなしスペースとして利用すると、来客中でも家族が家の中を自由に動ける点もメリットといえるでしょう。
おすすめ間取り3:庭を望める複数の部屋は自然光が広がる明るい空間
100坪の土地は広さに余裕があるため、複数の部屋を横に配置して庭に直接出られる間取りを選択できます。室内から庭を、庭から室内を見ることができるため、家の内外で家族のつながりが持てるのが魅力です。ホームパーティーやバーベキューなどで来客をもてなしやすいため、人を呼んでわいわい楽しむのが好きなご家族にはぴったりでしょう。
おすすめ間取り4:吹き抜けの大空間に設けたビルトインガレージはショールームのような高級感が魅力
参考:土地100坪に建つグレージュインテリアの高級ガレージハウス
容積率が高い土地なら、高さのある建物の建築が可能です。広々とした吹き抜けと大型窓によって視線が通り抜けるため、高さがあっても圧迫感はありません。大切な車は雨や埃で汚れないビルトインガレージへ。駐車スペースを広く取っているため、ショールームのような高級感あふれる演出も映えますね。
100坪の土地に建てる一戸建ての間取りアイデア
100坪の土地に一戸建てを建てる場合、間取りの自由度が高いという点は先ほどもお伝えしました。住宅金融支援機構の『2023年度 フラット35利用者調査』 によると、注文住宅の床面積の全国平均は119.5㎡(約36坪)ですから、平均以上の広さの家を建てられる可能性が高いといえます。
広さを生かした間取りのアイデアを紹介しますので、家族のライフスタイルや価値観を考慮しながら参考にしてみてください。
土間をつくり戸外との一体感を味わう
家の外と内をつなぐ土間は、かつての伝統的な日本家屋では珍しくない仕様でした。開放感があり、汚れを気にせず使えるスペースとして近年取り入れるケースが増えています。100坪の広さの土地を活かして玄関まわりに土間を設ければ、デザイン性も利便性も高いスペースになるでしょう。
趣味の空間で生活に張りを出す
趣味を楽しむ専用空間があると、生活の満足度がさらに高まることは間違いありません。防音仕様にして映画鑑賞や楽器演奏に没頭したり、大きな窓を設けて庭を眺めながらヨガを楽しんだりできる空間で過ごす時間は格別です。家族共通の趣味があれば、リビングの横に趣味スペースをつなげてみんなで楽しむこともできそうですね。
廊下や水まわりを広くして介護に備える
年を重ねて体力が落ちてくる将来の生活に備える場合、バリアフリー化だけでは不十分です。玄関や廊下、洗面所やトイレ・浴室などの水まわりを広くしておけば、車椅子を使うようになっても介護しやすいため、広さを確保するためのリフォームは必要ありません。ライフステージの変化をあらかじめ見据えた間取りとしておすすめです。
中庭を中心に家族がゆるくつながる
余裕のある広さの間取りだからこそ取り入れられるのが、家のどこにいても自然光を取り込みやすい中庭です。庭のように外からの視線を気にする必要がない上に、リビングやダイニング、子ども部屋などを中庭に面した状態で配置すれば、家族全員がつながりを感じやすくなります。桜の木を植えて春におうちでお花見―なんて過ごし方もできますよ。
まとめ
100坪の広い土地に一戸建てを建てることを検討するなら、まず土地の制限をチェックした上で間取りを考えていくとスムーズです。敷地が広い分、家だけでなく庭やアプローチなども理想的なプランを実現しやすいでしょう。
広い土地を活かした間取りをじっくり検討してみてはいかがでしょうか。