日々の生活を送る中で、子どもの教育費についてじっくり考える時間はなかなか取れないものですよね。さらに住宅購入など大きな出費が重なると、子どもの教育資金を貯められていないという方も多いのではないでしょうか。
大事なのは焦らず、現状をしっかりと把握することです。必要な教育費を理解した上で、貯蓄計画をしっかり立てることで、誰でも一定額は教育費を貯めることができます。この記事では、子どもの大学費用をどのように準備すれば良いのか、具体的な手段とそのコツをお伝えしています。
大学費用はいくら?教育費の貯蓄目標
今教育資金を貯蓄していないけど、将来かかる教育費へ漠然とした不安をもっているという方はとても多くいらっしゃいます。その不安を解決するには、まずはどのくらいの金額を目指すべきなのか把握することが大切です。
子どもの教育費のうち、最もお金がかかるのが大学の費用です。そのため、高校卒業時点で十分な大学費用を用意できているかどうかが重要となります。子どもの大学費用の目安を知ることから始めましょう。
大学費用の目安:500万円が基準
進学する大学によって、必要な教育費は大きく変わります。大学にかかる費用は、公立か私立か、文系か理系かにより大きく変わるのが現状です。国公立大学の場合、4年間で約481万円が必要とされています。それに対して、私立は約755万円ほど(文系理系平均)かかると見積もられています。
出典:日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」教育費負担の実態調査結果(2021年12月20日発表)より(入学費用と在学費用を合計して総額を求めた)
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「子どもがどの進路を選ぶか、まだわからない」と思う方もいるかと思いますが、大学進学時点で必要になるのは上記の金額が目安になるでしょう。現在、教育費をまったく貯められてないという方も、子どもが高校3年生の段階で500万円ほど貯められていれば、国公立でも私立でも余裕をもって支払いしていくことができます。
教育費用を老後に持ち越さないために
それでは、なぜ大学費用の教育費貯蓄が必要となるのでしょうか?
意外な視点かもしれませんが、教育費用の準備について考えるとき、子どもではなく親の老後生活をどう考えるかも重要となってきます。子どもが成人した後、親世代がリタイアし、理想のセカンドライフを始める際に十分な老後資金があることが必要です。そんな中、子どもの大学進学にあたって、その教育費の多くを教育ローンなどの借入に頼ったらどうなるでしょうか?
大学進学時に全額を捻出できないとしても、教育ローンや奨学金に頼らずに、一部だけだとしても大学費用を貯蓄しておくことを強くおすすめします。なぜなら、子どもの大学進学後に自身の老後資金を準備するのは、時間的な制約からみても、とても大変だからです。多くの親が50代前半で子どもが大学に進学します。そして、その後退職までの期間は約10年〜20年程と短いです。その期間に、教育ローンなどの返済をこなしながら老後資金の準備を始めるのはとても大変です。退職後の収入減も重なるので、その状況で教育ローンを返済していくのは、生活を圧迫し悲惨な状況になる可能性もあります。
さらに、教育ローンを組むことで子どもにも負担がかかることもあるでしょう。例えば、子どもが社会人になった際に、親のために返済を手伝うなど、親の負担を軽減するために自身の生活を犠牲にすることにもなるかもしれません。
これらを考慮に入れると、高校進学時点までである程度の教育費の貯蓄をしておくことは、自分自身や子どもの将来にとって大切なこととなります。
教育費用の捻出方法は?
今教育資金を貯めていないという方でも、これから教育資金を貯めるための方法にはどのようなものがあるでしょうか?
ここでは、特に貯蓄計画の初心者でも手軽に実行できて、かつ効果が期待できる3つの方法、支出の見直し、定期預金、そして積立投資について紹介します。
支出の見直し
次に、家計の支出の見直しです。毎月の収支を詳細に記録し、必要な支出と削減可能な支出を仕分けしてみることで、余計な出費を省き、その分を貯蓄に回すことが可能になります。より根本的に、ライフスタイルの見直しによっても、無駄な出費を削減することもできるでしょう。
以下に、いくつかの見直し方の具体的な例を挙げます。
固定費の見直し
通信費や光熱費など、毎月発生する費用の見直しは一番効果的です。不要なサブスクなどの契約があれば解約しておくと、年間でかなりの節約額になることもあります。同じサービスでも、新しいプランや別のプロバイダーへ切り替えを検討することで節約につながることもあるでしょう。
不必要な支出の見直し
例えば毎日のコーヒー代、外食、嗜好品費など、無くても問題ない出費はありませんか?本当に必要な出費かどうかを考え、必要でなければ節約しましょう。少額でもコツコツと貯金に回すことで、大きな金額を節約できます。
臨時の出費は計画を立てる
家電の購入、自動車の購入や旅行費用など、臨時で起こる出費は、金額も大きくなりがちです。事前に計画を立てて、必要額を見積もっておき、今ある貯蓄を切り崩さないことが重要です。家具や家電などなら、買い替えるタイミングを適切に見極めることも大切になってきます。
家計の支出を見直すことで、毎月の教育資金の貯金額を増やすことが可能です。毎月1万円だけでも貯金が増えれば、数年後にはかなりの金額となります。
教育資金専用口座への定期預金
定期預金は手堅い貯蓄方法の一つです。リスクが低く、確実に元本が保証されます。定期預金は定期的な積立に向いており、少ない金額から始めることが可能です。
現在の金利状況を考えると、定期預金の利息で大きく預金を増やすのは期待できません。しかし、定期預金を活用して教育資金の専用口座を設定するのにはメリットが多いです。
教育資金の専用口座は、教育費用のためだけの定期預金口座です。ポイントとなるのは、専用の定期預金口座を作っておくことで、預金目的が明確となり、毎月コツコツと貯金をするのに最適なことです。
具体的には、毎月一定の金額を自動でこの口座に移動させる設定を行いましょう。これで着実に教育費を積み立てることが可能となります。また、「教育資金専用」とすることで、この定期預金が子供の教育のためのものであるという意識を思い出させてくれます。意外かもしれませんが、この教育資金の「明示」が無計画な支出を防いでくれるのです。
積立投資
投資というとリスクが高いと感じる方も多いかもしれませんが、適切な資産配分を行った上で、長期的な視野で資産を購入することで、利益を生む可能性があります。特に、教育資金は、お子様の生誕から約20年前後という長期の資産運用が可能です。
教育資金であれば、例えば、低コストなインデックスファンドに毎月一定の金額を積み立てることで、長期的な資産形成を指向した積立投資が定石となっています。
教育ローンや奨学金はどう?慎重な検討が必要です!
大学教育費用の捻出については、教育ローンや奨学金の活用も一つの選択肢となるでしょう。実際、多くのご家族にとって、メリットがある場合も多いです。しかし、教育ローンや奨学金を選択する際は十分に慎重な検討が必要なことを覚えておきましょう。
教育ローン
教育ローンは、資金が不足している家庭でも大学進学を可能にする一方、一時的な借入にすぎません。そのため、卒業後の返済負担が大きくなる可能性があります。特に、既に住宅ローンを抱えている世帯であれば、返済負担が大きくなると想定以上に家計に大きな負の影響を与えます。そのため、教育ローンを利用するかどうか検討する際は、家計全体のバランスを考慮した上で慎重に検討することが重要です。
奨学金
一方、奨学金は大学教育を受けるための費用を捻出する手段の一つとして、よく推奨されています。ただし、ほとんどの奨学金は返済型なので、あくまで借入の一形態です。しかも借入を実行するのは学生である子ども本人で、親は連帯保証人にすぎません。返済の負担が子供の将来にどのような影響を与えるか、十分な話し合いと情報収集することをおすすめします。
また、多くの大学が独自の返済免除の奨学金制度を設けていますので、それらの制度についても調査することをおすすめします。
まとめ
子供の大学進学は、家計にとって大きな負担になります。しかし、教育資金についてしっかりと計画を立てておくことで、その負担はぐっと軽くなることが多いです。
教育資金を考える上でキーとなるのは大学費用で、その必要な費用の目安を知ることが第一歩です。そして、今教育資金を貯めていなくても、その目標額に向けて少しずつでも確実に貯金をしていくことで、家計のバランスを保ちながら必要な資金を確保することができるはずです。