日々の生活費をやりくりする中で、子どもの教育費用を準備するのはとても大変です。特に、経済的に厳しい状況では、子どもたちにしっかり教育を受けさせたいと思っている家庭にとって負担は重いものです。
そんな皆さんを支えるための制度があります。その一つが「教育支援資金」です。一定の条件を満たす世帯に対して貸し出される資金のことで、子どもたちの教育にあてることができます。この支援資金は原則として返済が必要ですが、一定の状況では返済が免除される場合があります。また、学生の間は返済を待ってもらえる制度も存在します。
この記事では、それら返済免除と返済猶予について制度の詳細と手続き方法について解説しています。読者の皆様の教育費負担が、少しでも軽くなるような情報になっているので、ぜひ最後までお付き合いください。
教育支援資金とは
まずは制度の概要を確認しておきましょう。
教育支援資金とは、「生活福祉資金貸付制度」の一部であり、厳しい経済状況にある家庭や、障害を持つ人々、介護が必要な高齢者のいる家庭への資金貸付と相談支援を通じて、その家庭の生活の安定と経済的自立を支援するための社会福祉制度です。(参考:東京都社会福祉協議会)
そのなかでも「教育支援資金」は、子どもたちの進学や修学の継続を支援するために用意されています。奨学金や教育ローンなど、他の借入ができない状況の世帯でも、高校や大学、専門学校への進学資金となるお金を行政機関から借りられる制度です。この資金の返済は子どもが卒業し、社会人になってから始めることができます。
また、この制度では、資金を借りる前から返済が終わるまで、相談支援もセットで提供されます。そのため、借りた資金の返済計画などを相談員の方と一緒に考えることができるのです。
ただし、教育支援資金はあくまで貸付金ですので、基本的には返済が必要となります。ただし、特定の状況では、返済が免除されたり、返済の猶予をしてもらえるケースもあります。以下で詳しくみてみましょう。
返済免除とは
返済免除(正式には「償還免除」)について詳しく解説していきます。返済免除とは、一部または全額の借りたお金を返さなくてもよくなる特例制度のことです。
ただし、この免除は非常に限定的な場合でしか認められません。厚生労働省の定めによると、償還免除は、「死亡その他やむを得ない事由により貸付元利金(延滞利子を含む)を償還することができなくなったと認められるとき」に、償還未済額の全部または一部が免除されることがあります。つまり、生活状況が非常に厳しく、返済がほぼ不可能となった場合のみに認められます。
そのため、教育支援資金は基本として借りたお金であり、原則としては返済が必要なことを念頭に借入する必要があります。このことを頭に入れ、返済可能な範囲で資金を借りるよう意識しましょう。
出典:「生活福祉資金の貸付けについて」 第15 償還免除
在学中の元利金返済猶予とは
在学中の元利金返済猶予について確認しましょう。「返済猶予」とは、返済開始の時期を一時的に延ばす制度です。教育支援資金では、借入者がまだ学生の期間は返済を待ってもらえるという制度があります。
具体的には、子どもが学校に通っている間は元利金の返済の必要がなく、卒業後に就職して収入が安定した段階で返済を開始することができます。この期間はお金を返さなくても遅延利息などが発生することはありません。
これにより、学生は学業に専念でき、その間に家計の再建を図ることが可能になります。しかし当然のことですが、返済猶予期間が終われば返済が始まるので、学生のうちの早めの段階で返済計画を立てることがおすすめです。
返済猶予・免除の手続き方法と注意点
教育支援資金は、子どもたちの進学の際に活用できる制度で、一定の条件の元で返済免除や返済猶予が利用できます。それでは、どのように手続きをすればよいのでしょうか?また、その際に気をつけるべきポイントは何でしょうか?
返済免除の申請
また、借り受け人または連帯借り受け人(この場合、両親など)が死亡した場合や、重度の障害を負った場合には、返済が免除されることがありえます。
免除申請は、地域の社会福祉協議会を通じて行います。必要な書類には、死亡証明書や障害者手帳などがあるため、事前に早めに準備しておきます。
返済猶予の申請
返済猶予は、返済が困難となった場合や、借り受け人が学生である場合などに一定期間返済を猶予してもらうことが可能です。
まずは、お住まいの地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。申請には、返済が困難である理由を証明するための書類が必要となります。在学生の猶予を申請する場合は、学生であることを証明する書類(在学証明書など)を事前に準備しましょう。状況によっては、所得証明書や医師の診断書などが必要になるケースもあります。
注意ポイント
注意点として、返済猶予や返済免除の申請は、返済の開始前や返済が困難になった時点で迅速に行うことが何よりも大切です。それは手続きには時間がかかるためです。
さらに、返済猶予や返済免除は、特別な事情・状況を証明する必要があります。申請時には、それらの詳細な説明と必要書類の提出が求められます。どのような書類を準備すれば良いか、どのように申請を進めれば良いか分からない場合は、まずは社会福祉協議会の担当者に相談してみましょう。状況に応じて、詳しい手続きの流れや必要な書類などを教えてもらえます。
まとめ
教育支援資金の説明、返済免除や猶予について詳しく見てきました。
生活費や教育資金に困窮しているときに、教育支援資金は大変有効な制度ですが、あくまで借金であることを忘れてはなりません。返済免除や返済猶予はありますが、これらは例外的な措置であり、認められるのにはハードルがあります。基本的には返済が必要となってきます。そのため、借入前や学生の間に返済計画を早めに立てることを強くおすすめします。
明るい未来を守るために、他の制度と一緒に教育支援資金を検討してみましょう。