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今返済すべき?奨学金の繰り上げ返済のメリット・デメリットを解説

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家族の未来マップ編集部

日本中の家族がさらに幸せになる未来を目指してライフハックを日々研究。税理士法人出身で子育て真っ最中のママ・パパが中心となって執筆。経験談やアンケート結果のデータから得られた情報をもとに、子育て世代のマナー、礼儀を解説中。

奨学金の返済は早く終わらせたいですよね。奨学金の返済期間を短くする方法のひとつに、繰り上げ返済という選択肢があります。この記事では、多くの方の奨学金に関して相談を受けてきた経験から、繰り上げ返済のメリット・デメリット、繰り上げ返済をすべきタイミングを、わかりやすく解説しています。

「本当に繰り上げ返済すべきか迷っている」「手続きが複雑そうで不安」という声をよく聞きます。ですが、3つの検討ポイントを押さえれば、ご自身の状況に合った判断ができます。奨学金を借りている学生はもちろん、返済中の社会人の方々にも役立つはずです。一緒に、奨学金の返済プランを考えていきましょう。

記事のポイント

1. 奨学金の繰り上げ返済のメリット

  • 総返済額が減る場合がある
  • 返済期間が短くなる
  • 心理的負担が軽くなる

2. 繰り上げ返済を検討する3つのポイント

  • 繰り上げ返済をした後も十分な貯金があるか
  • 他の債務との優先順位付けをする
  • 将来のライフプラン(資金需要)の予定

 

奨学金の繰り上げ返済とは?

奨学金の繰り上げ返済は簡単にいえば、予定していたよりも早く奨学金を返すことです。

この記事では主に、貸与者が最も多い日本学生支援機構の奨学金の繰り上げ返済(繰上返還)について説明していきます。

日本学生支援機構の繰上返還は返済期間短縮型の繰り上げ返済です。特徴は以下の通りです。

  • 繰り上げ返済すると返済期間が短くなります
  • ただし、繰り上げ返済をしても、毎月の返済額は変わりません

 

どんなときに繰り上げ返済を考える?

奨学金の繰り上げ返済を考えるのは、例えば次のようなときです。

  • ボーナスをもらったとき
    例:夏のボーナスで50万円の余裕ができた
  • 生活費が減ったとき
    例:実家暮らしを始めて、家賃6万円が浮いたので、貯蓄に余裕ができた
  • 臨時収入があったとき
    例:プレゼントや宝くじなどでまとまったお金をもらった

 

繰り上げ返済のメリット

では、なぜ繰り上げ返済を検討するのでしょうか?奨学金の繰り上げ返済には、主に3つの大きなメリットがあります。

 

返済総額が少なくなる

奨学金に利子がかかっている場合、繰り上げ返済をすることで、返済総額(返済終了までの毎月の返済額の合計)が減少します。

これは特に第二種奨学金(有利子)の貸与を受けている方には大きなメリットとなります。借入金の利子は借入残高と借入期間に応じてかかってきます。そのため、早く返せば返すほど、支払う利子が少なくなるため、返済総額も減少します。

例として、第二種奨学金(有利子)の借入総額300万円、返済期間15年の場合の様々な利率における返済月額と返済総額を比較してみましょう。

借入総額 利率 返済期間 返済月額 返済総額
300万円 0.20% 17年 14,972円 3,054,379円
300万円 0.50% 17年 15,378円 3,137,193円
300万円 1.00% 17年 16,069円 3,278,076円
300万円 1.50% 17年 16,777円 3,422,581円
300万円 2.00% 17年 17,503円 3,570,658円
300万円 3.00% 17年 19,007円 3,877,457円

※ 返済期間(回数)は奨学金返還年数算出表に基づいています。

次に、繰り上げ返済で削減できる利子を見てみましょう。

第二種奨学金は元利均等返済なので、1回の繰り上げ返済ごとの利子が分かります。それを元に、回数(金額)ごとの削減できる利子相当額を概算してみました。各貸与利率で比較してみます。

利率 12回(1年分) 24回(2年分) 36回(3年分) 48回(4年分)
0.2% 3,199円 6,398円 9,596円 12,795円
0.5% 8,070円 16,140円 24,211円 32,281円
1.0% 16,357円 32,715円 49,072円 65,430円
1.5% 24,858円 49,715円 74,573円 99,431円
2.0% 33,568円 67,136円 100,704円 134,272円
3.0% 51,615円 103,230円 154,845円 206,460円
利率 60回(5年分) 72回(6年分) 84回(7年分) 96回(8年分)
0.2% 15,994円 19,193円 22,391円 25,590円
0.5% 40,351円 48,421円 56,491円 64,561円
1.0% 81,787円 98,144円 114,502円 130,859円
1.5% 124,289円 149,146円 174,004円 198,862円
2.0% 167,841円 201,409円 234,977円 268,545円
3.0% 258,076円 309,691円 361,306円 412,921円

※ 上記の金額は概算であり、実際の削減額は返済状況や時期によって異なる場合があります。
※ 試算は定額返還方式(日本学生支援機構)の場合をシミュレーションした結果です。

 

この表から、利率が高いほど、また繰り上げ返済の回数が大きいほど利子削減効果が大きくなることがわかります。例えば、利率1.5%で3年分(36回)の繰り上げ返済を行うと、合計で約7万円の利子相当を削減できることになります。

 

返済期間の短縮

繰り上げ返済をすると、返済期間が短くなる場合があります

日本学生支援機構の奨学金の場合は、繰り上げ返済をするとその分将来の返済回数が少なくなるため、返済が終わる時期も早まります。

返済が終わった後の人生設計を考えると、様々な可能性が広がります。仕事のキャリアや趣味などで「奨学金返済が終わったら、新しい挑戦をしよう」といった計画も、実現を早めることもできますね。

 

心理的な負担の軽減

繰り上げ返済をすることで、借入残高が大きく減るため、心理的な負担が減る効果もあります。

日本学生支援機構の奨学金は繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わりませんが、返済額や期間が減るのを確認するたびに、努力が報われていると実感することもあります。実際に繰り上げ返済をして心理的にラクになったという多くの人がおっしゃるメリットです。

 

繰り上げ返済のデメリット

奨学金の繰り上げ返済はいくつかメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、最も重要なデメリットについて解説します。

 

手元のお金が一度に減る

繰り上げ返済をすると、即座に手元の資金が大きく減ります。当たり前のように思えますが、収入の低い若い年齢のうちは実際にかなり大きな影響があり場合があるので注意が必要です。

まずは具体例を挙げて考えてみましょう。

Aさん(28歳、会社員)の場合

  • 奨学金残高:200万円
  • 毎月の返済額:2万円
  • 手元の貯金:100万円

新卒時からボーナスなどをコツコツ貯めて100万円の貯蓄を作っていましたが、貯金の半分の50万円を使って繰り上げ返済をした場合は次のようになります。

  • 奨学金残高:150万円に減少
  • 毎月の返済額:変わらず2万円(日本学生支援機構の場合)
  • 手元の貯金:50万円

 

緊急時の備えが減少

繰り上げ返済をしたことで、Aさんの貯金は50万円になり、突然の失業や病気、事故などに対する備えが半分になってしまいました。例えば、Aさんの月収が手取り20万円くらいなら、もしAさんが3ヶ月間以上働けなくなった場合、貯金だけでは家賃や生活費を賄うのが難しくなる可能性が高いです。

もしもの時に備える貯蓄を「生活予備費」などと呼んだりしますが、毎月の生活費(または収入額)の2〜3ヶ月程度分をたくわえておくことをおすすめしています。奨学金の繰り上げ返済の際は、こうした生活予備費の分が手元に残るように、返済額を調整する方がよいでしょう。

 

将来の機会損失

例えば、Aさんの働く業界で突然、資格取得者の待遇が高まり、その資格を取得すれば大幅に昇給が見込めたり転職が容易になることもあるでしょう。しかし、その資格の取得に50万円かかるとしたら、繰り上げ返済をしていなければ挑戦できたかもしれない機会を逃してしまうことになります。

このように、一度手元から手放した資金は簡単に取り戻せません。またコツコツと貯金をしても、同じ金額を貯めるのには何年もかかるかもしれません。また、日本学生支援機構の奨学金の場合、繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わらないため、月々の家計の負担は変わりません。

まとめると、繰り上げ返済を検討する際は、単に奨学金残高を減らすことだけでなく、手元資金を維持することの重要性も考えておくほうがよいでしょう。確かに、利子分を節約できる場合や、返済期間が短くなったりなどのメリットもありますが、もしもの事に備える資金も重要です。ご自身の収入状況、将来の計画、他の債務の状況なども総合的に判断し、慎重に決断しましょう。

 

繰り上げ返済すべき?3つの検討ポイント

奨学金の繰り上げ返済を考えているものの、実際に返済すべきかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。

繰り上げ返済を検討するときにおすすめしているのが、3つのポイントを考えてみることです。

 

貯蓄はどのくらいあるか

まず最も重要なのは、ご自身の貯蓄の状況をしっかりと把握することです。

  • 最低3ヶ月分の生活費(月収手取り額×3ヶ月分を目安)は緊急用の生活予備資金として確保しておくことをおすすめします。
  • 繰り上げ返済用の資金は、繰り上げ返済用に貯めてきた貯金、またはボーナスなどの臨時収入を原資にすることが多いですが、将来のために蓄えてきた貯蓄を一度に減らすことで、将来に不安が残らないか十分に検討しましょう。
  • 上記ですでに解説したように、将来に結婚や引っ越し、起業などのイベントが控えているのであれば、それらの資金がどのくらい必要か見積もって、繰り上げ返済のメリットと比べてみましょう。そこで、本当にいま繰り上げ返済をする必要があるのかが見えてくることも多いです。

 

他の債務との優先順位付け

奨学金以外にも返済中の債務がある場合、どの債務を優先的に返済するべきか考える必要があります。

例:

  • 奨学金:残高200万円、金利1.5%
  • カーローン:残高100万円、金利3%
  • クレジットカード債務:残高30万円、金利15%

一般的に、金利の高い債務から返済していくのがおすすめです。この例の場合、クレジットカード債務→カーローン→奨学金の順で返済を進めていく方が、総返済額が少なく済みます。高い金利の債務を早く返済すると、その分の利子が少なくなるからです。

もしも奨学金の金利よりも高い借入をしている場合は、その借入を早く完済することを優先することをおすすめします。

 

将来のライフプランの見込み

今後のライフプランを考え、将来の大きな出費に備えた貯蓄とバランスを取っていきます。

  • 結婚式や新生活の準備、住宅の頭金など、将来の大きな出費に備えて貯金することも重要です。
  • 繰り上げ返済をする分を将来の貯蓄に回すべきかもしれません。
  • 一方、将来にお金がかかるイベントを想定していない方は、繰り上げ返済のメリットが大きいです。

これらの3つのポイントを総合的にみて、ご自身の状況に最適な返済計画を立てることが大切です。

この3つのポイントで不確定要素が多いという方は、一度に大きな額を繰り上げ返済するのではなく、まずは少額で返済を進め、徐々に増やしていくなど、柔軟に対応していきましょう。

 

繰り上げ返済の方法と手続き

奨学金の繰り上げ返済を決意されたら、具体的にどんな方法があるのでしょうか?

ここでは、多くの方が貸与を受けている日本学生支援機構の奨学金を例に、繰り上げ返済の流れを詳しく見ていきます。

 

繰り上げ返済の方法

日本学生支援機構の奨学金では、主に次の2通りの方法で繰り上げ返済ができます。

a) 回数指定返還

  • 返還回数を指定して繰り上げ返済する方法です。
  • 例:残り120回の返済のうち、20回分を繰上返還して100回に短縮

b) 金額指定返還

  • 返還金額を指定して繰り上げ返済する方法です。
  • 例:50万円分に相当する回数分を繰上返還(回数は機構で計算されます)

 

手続きの流れ

1. 繰り上げ返済の申し込み

  • スカラネット・パーソナル(インターネットサービス)から申し込めます。
  • その他、電話、郵送、FAXでの申し込みも可能です。

2. 必要事項の入力または記入

  • 繰り上げ返済の方法(回数指定か金額指定か)を選択します。
  • 希望の回数や金額を入力(記入)します。

3. 返済方法の確認

  • 回数指定の場合:指定された回数に応じて計算された金額がリレー口座(振替口座)から自動的に引き落とされます。
  • 金額指定の場合:希望額が同じくリレー口座から引き落とされます。

 

注意点

  • 繰り上げ返済の最低額は1万円からです。
  • 一度申し込んだ繰り上げ返済は取り消せません。慎重に検討しましょう。
  • リレー口座に希望額の残高がなく、引き落としに失敗する場合は、入金するよう督促が来る場合があります。

 

奨学金繰り上げ返済のよくある質問(FAQ)

Q1: 繰り上げ返済にはいくらから可能?

日本学生支援機構の奨学金の場合、最低1万円から繰り上げ返済が可能です。

 

Q2: 繰り上げ返済にはペナルティがある?

日本学生支援機構の奨学金では、繰り上げ返済にペナルティはありません。手数料もかかりません。ただし、民間の教育ローンなど、金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかる場合があります。返済を実行する前に必ず確認しましょう。

 

Q3: 繰り上げ返済と返済猶予制度の併用はできる?

基本的に、繰り上げ返済と返済猶予制度の併用はできません。返済猶予中は、繰り上げ返済の申請はできません。返済猶予が終了し、通常の返済を再開してから繰り上げ返済を検討しましょう。

 

Q4: 繰り上げ返済をすると、毎月の返済額は減る?

毎月の返済額を減らすタイプの繰り上げ返済もできる場合があります。できるかどうかは借入先の機関に問い合わせてみましょう。日本学生支援機構の奨学金の場合、繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わりません。

 

Q5: 繰り上げ返済の申し込み後、取り消しはできる?

一度申し込んだ繰り上げ返済は、原則として取り消すことができません。申し込む前に、十分な検討と資金の確保が重要です。

 

Q6: 繰り上げ返済は何回でもできる?

回数の制限はありません。自身の経済状況に応じて、複数回の繰り上げ返済が可能です。資金に余裕ができたタイミングで柔軟に繰り上げ返済を行うことができます。

 

繰り上げ返済の判断基準を理解しておきましょう

奨学金の繰り上げ返済は、総返済額の軽減や返済期間の短縮など、多くのメリットがあります。しかし、貯金していたお金が一気に減ることのデメリットもあります。繰り上げ返済を検討する際は、ご自身の資産状況と、他の債務との優先順位付け、将来のライフプランを検討した上で決断することをおすすめします。

繰り上げ返済は万能の解決策ではありませんが、適切に活用すれば将来の経済的な負担が大きく減ります。繰り上げ返済をすべきかどうか、慎重にお考えください。

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