挨拶(あいさつ)は日常生活で大切なコミュニケーション手段のひとつですよね。ですが、我が子がお外でなかなか挨拶ができない…そのことで悩んでいるママ・パパも多いですよね。
今回は「子どものマナーの教育」について独自のアンケートを実施し、挨拶ができるようになった年齢を質問しました。多くの方から回答を得たところ、子どもが挨拶ができたおおよその平均年齢のほか、挨拶ができる子どもに共通する特徴も少し見えてきました。その他、挨拶ができない原因や親ができることについても分析しているので、今お悩みのママ・パパにもとっても役立つ内容となっています。
記事のポイント
- 子どもが挨拶できるようになる平均年齢は4.9歳
- 6歳くらいまでに7割近くの子どもがあいさつできるようになる
- あいさつできない主な原因は緊張と慎重さ、タイミング
- ママ・パパができることもたくさんある!
挨拶ができるようになった平均は4.9歳!
まずは、独自にインターネットで行ったアンケート調査の結果から見ていきましょう。
今回は「子どもとマナー」について質問するアンケートを実施したのですが、子どもが挨拶できるようになったときのことも質問しています。
独自アンケート調査の概要
調査名 | 子どもとマナーに関するアンケート |
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対象 | 全国の18歳以下の子どもを持つ親 |
有効回答数 | 233 |
調査期間 | 2023年8月26日〜9月1日 |
調査方法 | クラウドソーシングサイトでのアンケート依頼 |
調査項目 | ・属性(性別、年収、居住地、子どもの年齢) ・子どもの教育観 ・子どもがマナーを守れるようになった年齢 等 |
質問:お子様が家族以外にあいさつできるようになったのは何歳のとき?
回答を集計したところ、子どもが挨拶ができるようになった平均年齢は4.9歳という結果でした。
0歳〜18歳の範囲で聞いたところ、最も回答が多かったのは5歳(18.8%)で、0〜5歳までで全体の64.1%を占めていました。6歳まで広げると、全体の76.6%となりました。
みなさんが想像していた年齢と比べてどうでしょうか?この結果から、6歳前後の年齢になると、多くの子どもが挨拶の基本ができるようになるようですね。4歳になっても、挨拶ができないと悩んでいるママ・パパのみなさんも、6歳くらいになるとほとんどの子が挨拶ができるようになると分かると少し安心できるのではないでしょうか?
アンケートでは、お子さんがなかなか挨拶できないことについて、いろいろな悩みの声が聞かれました。
親や近所の人が挨拶をきちんとしていたら、それをマネして「自然に挨拶できるようになった」というコメントが多かったですが、一方で、見本をみせても「なかなか挨拶してくれなかった」という親御さんも目立っていました。挨拶について思い悩むママ・パパは予想よりもかなり多いという印象をもちました。
どんな子どもが早く挨拶できる?調査で見えてきた理由
アンケートでは、挨拶についての質問のほかに、子どもに対する教育観や親から見た子どもの質問についても質問していました。
子どもの挨拶について、ポイントをいくつか発見できたので、それを見てみましょう。
挨拶が早くできるようになった子どもは素直?
挨拶が早くできるようになった子どもはどんな性格なのでしょうか?
挨拶ができるようになった年齢と一緒に、「お子様は素直な性格だと思いますか?」という質問をしたところ、子どもが素直な性格だと親が思っているほど、挨拶ができる年齢が幼くなる(早くできるようになる)という関係性が強いことが分かりました(※1)。
あくまで相関関係なので、素直だと挨拶ができるようになるのか、挨拶ができるような子が生まれつき素直な性格なのかは断言できません。ですが、素直な性格な子どもほど、早いうちから挨拶を覚えるのかもしれませんね。
(※1 参考情報)
質問:お子様は素直な性格だと思う?
回答総数233件のうち、「お子様が家族以外にあいさつできるようになったのは何歳のとき?」の回答と「お子様は素直な性格だと思いますか?」の回答の組み合わせの割合を算出しております。
各選択肢を0〜100のスコアで重み付けし、年齢ごとに平均スコアを求めた後、年齢と平均スコアの相関係数(r=-0.93)を算出した。
ママ・パパのマナー意識が高いほど挨拶ができるようになる?
ママ・パパが子どもの礼儀やマナーを教えるのに真剣なのに、子ども本人はなかなか身につかない…という悩みをお持ちの方も多いですよね。
今回「子どもでもできる範囲で礼儀やマナーを身につけるべきだと思いますか?」という質問で、ママ・パパの礼儀・マナー教育の意識を聞いてみました。
その結果、 ママ・パパが「子どもが礼儀・マナーをある程度身につけておくべきだ」と考えているほど、早い段階から挨拶ができる傾向がありました。(※2)
こちらについても、相関関係が強いというだけですので、意識の高いママ・パパの目から見ると、自分の子どもがかなり早く挨拶ができるようになったと見えているだけの可能性もあります。とはいえ、今この記事をご覧のママ・パパのように、マナー教育の意識が高い方ほど、子どもが挨拶できるようになるかもしれません。
「挨拶させようとすごい努力しているのに、なんで全然できるようにならないんだろう・・・」と思い悩んでいるママ・パパほど、近いうちに子どもがしっかりと成長した姿を見られるでしょう。ママ・パパはもっと気楽に考えてもよいのかもしれませんね。
(※2 参考情報)
質問:子どもでもできる範囲で礼儀やマナーを身につけるべきだと思いますか?
回答総数233件のうち、「お子様が家族以外にあいさつできるようになったのは何歳のとき?」の回答と「子どもでもできる範囲で礼儀やマナーを身につけるべきだと思いますか?」の回答の組み合わせの割合を算出しております。
各選択肢を0〜100のスコアで重み付けし、年齢ごとに平均スコアを求めた後、年齢と平均スコアの相関係数(r=-0.87)を算出した。
挨拶ができない主な原因
子どもたちがなかなか挨拶にふみきれないのには、いくつかの要因があるようです。私たちの経験とアンケートの回答コメントから読み解けた要因をピックアップしてみました。
緊張、恥ずかしさ
人間は、新しい環境や未知のものに直面すると、自然と緊張する生き物ですよね。しかも、子どもたちはまだまだ社会的な経験値が少ないので、新しいシチュエーションや馴染みのない人とのコミュニケーションには敏感で消極的です。
それは挨拶にも当てはまります。
例えば、外出先の店員さん、初めての習い事の場所、そして近所のおじさん・おばさんでさえも、子どもにとっては大きなプレッシャーを感じます。
そんなときに感じる「緊張」から、言葉がうまく出てこなくなるんですね。
そして、「恥ずかしさ」や「気恥ずかしさ」も大きな原因になると思います。
挨拶をすることは、自分の存在や気持ちを声に出して表現する行為。「あなたが今ここにいることを分かっているよ!」というのと同時に、自分が「ここにいるよ!」と宣言することでもありますよね。それで、自己表現が苦手なうちは、挨拶をするのにも恥ずかしさを感じてしまうのでしょう。
特に家族の前だと、今度は挨拶できるかどうかに期待されたり、評価されているんじゃないかと感じてしまい、それで照れくさいと感じる子も多いようです。特に、「挨拶しようね」と日頃言われている子どもほど、そのプレッシャーは感じるでしょう。挨拶は大人が平気でしている行動ですから、賢い子ほど「大人のように挨拶すること」に気恥ずかしさを覚えるのかもしれません。そんな子どもには、大人も子どもも「挨拶するのが日常的で普通なこと」だと見本をみせて実感してもらったり、ある程度は子どもが自主的に挨拶するのに任せてしまうのも一つでしょう。
相手が誰か分からず慎重になる
子どもたちが見ている世界はまだまだ狭いです。生活の範囲は、家族や学校、近所にいる友だちで、それ以外の大人や子どもたちとの交流はないことがほとんどだと思います。そのため、知らない人と会話が必要になるときは、無意識に身を守るため、慎重になります。
しかも、ほとんどの子どもは「知らない人とは話さない」という教育を受けていると思います。知らない大人に挨拶されても、その教えとの間で揺れ動くことも。
公園やスーパーなどで、初めて会うおじいちゃんやおばあちゃんに「こんにちは」と声をかけられたとき、子どもたちはその相手がどんな人なのか、相手の感情などを瞬時に判断するのを求められます。最初のうちは、「あいさつを返してもいいんだろうか」と悩んで、ときにはスルーしてしまうこともあるかもしれません。
でも、子どもも「知らない人でもあいさつは返しても大丈夫なんだ」と次第に分かるようになります。
こうした子どもの揺れ動く心に理解をもって、辛抱強く見守っていくのが大切です。
挨拶するタイミングが分からない
挨拶ができない原因として、意外と見逃してしまうのが「タイミングが分からない・合わない」ということ。
私たち大人は、社会的な経験を重ねる中で「この場面だと、このタイミングで挨拶するのが普通だよね」と感じるようになりますが、子どもたちはまだそのような感覚が育っていません。そのため、いつ挨拶を繰り出せばいいのか、子どもたちは真剣に悩んでいるんですよね。
たとえば、公園で友達と一緒に遊んでいるときに、友達の親がなにか話しながら近づいてきたとします。最初に「こんにちは〜」と挨拶ができたならカンタンですが、友達の親はそのまま友達と話始めてしまいました。そんなとき、大人が挨拶をしてくれるのを待つべきなのか、それともなりふり構わず自分から挨拶するべきなのか、迷ってしまう子どももいます。賢い子どもであるほど、これって酷な状況ですよね。
こういう場面では、子どものうちなら、話をちょっと割ってでも「こんにちは!」と言っても全然かわいいものです。ほとんどの大人たちは暖かい目で見守ってくれます。
しかし、そんな勇気が必要な場面もあるのが、子どもたちがみている現実です。親としては、子どもたちのそのような迷いや不安があることをきっちり理解してあげること、そして優しくサポートしてあげることが大切でしょう。
過去の失敗体験
子どもたちは日々新しい経験を積んでいきます。挨拶も同じです。ですが、その過程で時々失敗(嫌なこと)も経験しますよね。
思い返してみると、子どものころ、自分から元気よく「こんにちは!」と挨拶したのに、相手が何も返してくれなかった、という経験はありませんか? まあ、大人になってからも多いですよね…
子どもたちは、そうした嫌な経験、言い換えると「失敗体験」を非常に深く受け止めてしまうことがあります。一度、挨拶をして無視されたと感じると、次に同じ状況になった時に、自分からは挨拶を避けるかもしれません。
こうした過去の「失敗体験」は、「挨拶をすると恥ずかしい思いをするかも」というネガティブな印象を子どもの心に刻み込むことがあります。それが、知らない人たちとの対面で、挨拶を躊躇する原因になっているかもしれません。
親としては、子どもがそうした「失敗体験」をしても大丈夫だということを教えてあげることが大切。挨拶は、自分から元気よくすることに本当の価値があります。「相手の存在を認めていることを伝える」という挨拶の本質に立ち返って、「挨拶が返ってこなくても大丈夫だよ」と優しくサポートしてあげるといいでしょう。
挨拶ができるようにママ・パパができること
子どもが自信を持って、挨拶することを楽しめるようになるために、ママ・パパとしてどのようなサポートができるのでしょうか?アンケート調査の結果と、編集部での経験をもとに、いくつかの方法を解説していきます。
モデルとなる行動をする
一番基本となるのは、やはり親が見本となることです。
子どもは、自分の周りの大人の行動や態度をすごく観察して、それを素直にマネします。子どもの社会性はこのマネを通して成長していくんだと思います。
まずは、家の中で、朝起きたときに「おはよう」、家を出る前「いってきます」、家に帰ったときに「ただいま」、何かを手伝ってもらったら「ありがとう」など、ママ・パパが日常のシーンでの挨拶を欠かさないようにしましょう。家の中でまずは習慣化しないと、外で挨拶することなんてできないからです。
次に、買い物や散歩中、知り合いや近所の人と会ったときには、ママ・パパが率先して挨拶をします。子どもはその様子を見て、「挨拶をすることが普通のことなんだ」「挨拶はこうすればいいんだ」と学ぶことができます。
ママ・パパが挨拶をしっかりと行うことで、それが「普通」だという理解が子どもの中に根付きます。親がモデルとなって、正しい挨拶の方法やその大切さを子どもにみせるのが、子どもが挨拶をできるようになる最初のステップというわけですね。
挨拶する意味と必要性を共通する
挨拶をする最も基本的な理由は、目の前の人の存在をちゃんと見て、認知していることを示すためです。
元気に挨拶することで、相手は「あ、私はちゃんと認められているんだ」と感じ、相手はきっと嬉しい気持ちになりますよね。それを感じてもらうことが、挨拶の効果で、大切なコミュニケーション手段となっている理由だと思います。
子どもには例えば、公園で友だちと一緒に遊んでいるとき、突然新しいお友だちがやってきたら、最初は「誰?」と思うよね。でも、そのお友だちが「こんにちは!」と挨拶してくれたら、「あ、この子と遊んでもいいかも」という気持ちになるよね?みたいな感じで説明してみるといいかもしれません。
シミュレーションと練習を一緒に行う
これから外出したり、親戚やママの友達が来るなんてときは、子どもと一緒に挨拶のシミュレーションと練習をしてみませんか。
まずは、リビングや車の中で、小さなロールプレイをしてみます。これからおばあちゃんの家に遊びにいくというとき、例えばママがおばあちゃん役、子どもが自分自身の役となり、家の玄関を開けた瞬間のシチュエーションを想像するようにします。玄関で「おじゃまします」と挨拶して、おばあちゃん役のママが「あら、来てくれたのね!」と反応する、といったやり取りをやってみると分かりやすいと思います。さらに、おばあちゃんの家の中で、おじいちゃんや他の親戚との初めての挨拶の場面も想像してみます。そんな感じで、さまざまな場面での挨拶の仕方を練習します。
このように、実際にその場面になる前に、ママ・パパと子どもが一緒に練習をしておくと、子どもはすごく安心できるんですね。挨拶のタイミングや言葉選びの不安が少し減らせます。
挨拶ができたときは、気持ちよく一緒に喜ぶ
アンケート結果から、一番効果が期待できそうだと分かったのが、挨拶ができたときに一緒に喜んであげることです。
子どもが挨拶できたら、その場ですぐに、「挨拶できて嬉しいね」、「大きな声で挨拶したから(相手の人も)嬉しかったね」というポジティブな言葉をかけることで、子どもは自分の行動がよかったんだ、嬉しいことをしたんだ、と感じます。
そのように、挨拶できれ嬉しいという気持ちにママ・パパが共感してあげることが何よりも嬉しく感じるはず。それで、次も自然に挨拶しようとなるんですね。
挨拶ができなくても焦る必要はなし!
子どもが挨拶をしなかったからといって焦る必要はありません。成長と共にコミュニケーションの技術は自然と身につくもの。ママ・パパとして大切なのは、焦らず優しくサポートすること。
挨拶をする楽しさや意味を一緒に感じながら、子どものペースで進めていきましょう。挨拶が自然にできる日も、きっと近いです。