奨学金を借りていることで、結婚がうまくいかない方は少なくありません。実際に、当サイトで実施したアンケート調査をみても、多くの方が奨学金を借りている相手との結婚に何らかの壁を感じているようです。
本記事では、奨学金返済と結婚の両立に悩む方向けの成功戦略をお伝えしています。お金の専門家として単なる精神論ではなく、問題点を洗い出して、実際に結婚を円滑に進めるポイントを分かりやすく説明しています。後半では、返済額を減らせる支援制度なども解説しています。
奨学金の返済に不安を感じている方、結婚を諦めかけている方にとってこの記事がお役に立つことを願っています。
記事のポイント
- 奨学金は結婚の障壁になることもありますが、適切な計画と工夫で両立は十分に可能です。
- 返済計画の見直し、家計管理の工夫が重要です。
- 自治体や企業による奨学金返還支援制度などのサポートを活用すると、返済負担を大幅に軽減できる可能性があります。
【調査結果】奨学金で結婚が破談に可能性は？
独自アンケート調査の概要
| 調査名 | 奨学金と結婚に関するアンケート |
|---|---|
| 対象 | 全国の未婚で将来結婚を希望する方 |
| 有効回答数 | 140（無効回答を除いた数） |
| 調査期間 | 2024年7月21日〜7月26日 |
| 調査方法 | クラウドソーシングサイトでのアンケート依頼 |
| 調査項目 | ・属性（性別、年収、居住地、職業） ・奨学金返済のある相手との結婚の可否 ・結婚観 等 |
質問：仮に結婚相手が奨学金の返済があるとき、結婚に影響はありますか
アンケートの結果、全体で約４割の方が、奨学金を借りている相手との結婚に影響があると回答しています。5%の方は「結婚にかなり影響がある」と考えており、全体の3%の方は結婚できない（破談になる）とされていました。
過半数（約60%）の方は奨学金の返済があっても結婚には影響がないか、あまりないと考えているようですが、実際に少なくない割合で奨学金を結婚の障壁と考える人がいることが可視化されました。
それでは、男女別に、結婚相手の奨学金についてどのように考えているのでしょうか？このアンケート集計結果をみると、「結婚に多少は影響する」「結婚にかなり影響する」「結婚することは考えられない」と、結婚に強い影響があると回答したのは女性で全体の約44%、男性で約36%という結果でした。「結婚に全く影響しない」と答えたのは、女性が14%、男性では31%と、２倍近い違いがありました。
この結果から、男性に比べて女性の方が、結婚相手の奨学金の状況に何らかの障壁を感じている割合が高いことが分かります。女性は、まだまだ社会的には、出産・育児で仕事から離れる期間が男性よりも長めになることも多く、結婚相手の男性の経済的な負担を心配している方が多いのかもしれません。
奨学金で結婚が破談になる理由
奨学金は多くの方にとって、大学や専門学校などの高等教育を受けるのに不可欠な制度です。
しかし、結婚を考える段階になると、思わぬ障害となることもあります。その原因として考えられるのはどんなものでしょうか？
「借金」というレッテルと周囲の理解不足
奨学金は本来、教育投資のための制度ですが、残念ながら「借金」というネガティブなイメージで捉えられがちです。「借金持ちと結婚したくない」という声を聞くことも少なくありません。
特に、奨学金に対する社会の理解はまだまだ十分とは言えません。年上の世代や奨学金を利用したことのない方々からは、「若いうちから借金を背負うなんて」といった批判的な目で見られることもあります。
実際に奨学金はさまざまな誤解や偏見にさらされることもあります。例えば、次のようなイメージを持っている人も実際に多いです。
- 「奨学金があると、住宅ローンが組めない」
- 「奨学金は親の責任放棄の結果だ」
- 「奨学金を借りている人は金銭管理ができていない」
実際には、奨学金を借りているからといって、必ずしもローンが組めないわけではありませんし、奨学金を借りているからお金の管理ができない人という理屈は絶対にあてはまりません。むしろ、中卒や高卒ではなく、大学や専門学校に通って得られた知識やスキルは、将来の家庭生活をより豊かにする可能性を大きくしています。
一方で、まだまだ奨学金に対するイメージは良いとはいえません。特に、奨学金とは縁がなかった両親の世代から反対されることが多い現実もあります。自分たちの時代には奨学金を利用せずに進学できた、あるいは進学しなかった両親にとって、奨学金の必要性や意義を理解するのは難しいかもしれませんよね。「うちの子に借金なんてさせられない」という思いから、結婚に反対するケースも少なくありません。
このような周囲の反応や理解不足が、結婚を決意する際の心理的な障壁となってしまうこともあります。
将来への不安
また、奨学金を借りている本人とパートナー自身の心理的な負担が結婚にマイナスの方向に働くことも多いです。
奨学金の返済は長期にわたることが多いため、将来の生活設計に不安を感じる方も多いでしょう。
「いつまで返済が続くのか」「子育てとの両立は可能なのか」といった懸念が、結婚への一歩を踏み出せない要因になることがあります。
奨学金があることで破談になった実例
奨学金が原因で最終的に結婚に至らなかったケースは、残念ながら珍しくありません。
ここでは、実際に相談をお聞きした2つの事例を紹介します。これらの事例を通じて、奨学金が結婚に与える具体的な影響について考えてみましょう。個人の特定を避けるため、少し修正・脚色しています。
事例1：Aさん（28歳、女性）のケース
Aさんは、都内の私立大学を卒業後、出版社に勤務する28歳の女性です。大学在学中に利用した奨学金の残額は500万円で、毎月3万円ずつ返済しています。
婚約者のBさん（30歳、男性）とは3年間交際し、最近結婚の話が具体化してきました。二人で婚約指輪を選び、結納の日取りも決まっていました。
どん底に落とされた結納の席
結納の日、Aさんは緊張しながらもBさんの実家を訪れました。しかし、和やかな雰囲気で始まった結納の席は、Aさんの奨学金の話題が出た途端に凍りつきました。
Bさんの両親は、Aさんの奨学金について事前に知らされていませんでした。「500万円もの借金があるなんて」「うちの息子にそんな負担を背負わせるつもりなの？」と、Bさんの両親は激しく反対しました。
結納の席は険悪な雰囲気で終わり、その後、Bさんの両親からの強い圧力もあり、二人の関係は徐々に冷めていきました。結局、婚約解消という形で別れることになってしまいました。
Aさんは「教育のために借りた奨学金なのに、なぜこんなに否定的に見られるのか」と、強い疑問と後悔の念に苛まれています。
事例2：Cさん（32歳、男性）のケース
Cさんは、地方の国立大学から大学院に進学し、現在は製薬会社の研究職として働いています。学部と大学院で利用した奨学金の残額は800万円で、毎月5万円ずつ返済しています。
5年間交際していた彼女のDさん（30歳、女性）とは、最近結婚を視野に入れて将来の話をするようになりました。
新居探しで浮き彫りになった溝
二人で新居を探し始めたとき、問題が表面化しました。Cさんは奨学金の返済があるため、住宅ローンの審査に通るか不安でした。また、頭金の用意も難しい状況でした。
Dさんは「マイホームに住みたい」という強い希望を持っていましたが、Cさんの状況を知ると、徐々に不満を口にするようになりました。「どうして今まで奨学金のことをきちんと話してくれなかったの？」「このままじゃ、いつになったら家が買えるの？」
将来の生活設計が立てられないことで、二人の関係は徐々に悪化していきました。話し合いを重ねましたが平行線のまま。結局、「価値観の違い」という理由で、5年間の交際に終止符を打つことになりました。
Cさんは「高度な教育を受けるために借りた奨学金が、かえって人生の足かせになってしまった」と、深く落胆しています。
これらの事例は、奨学金が結婚に与える影響の一端を示しています。しかし、奨学金があることが必ずしも結婚の障害になるわけではありません。次のセクションでは、奨学金返済と結婚を両立させるための具体的な方法について見ていきましょう。
奨学金ありでも結婚を円滑に進めるポイント
奨学金があるからといって、結婚を諦める必要はありません。金銭面では、適切な計画と工夫があれば、奨学金の返済と結婚生活は十分に両立可能です。そして、こうした考えをご両親や家族と共有することで、結婚を破談にすることなく、結婚に前向きに協力してくれる可能性があります。
返済計画の見直し
もしも奨学金の返済があるために、結婚後の生活費に不安を感じている場合は、奨学金の返済計画を見直す必要があるかもしれません。
所得連動返還方式への変更
日本学生支援機構の奨学金を利用している場合、所得連動返還方式に変更できる可能性があります。この方式では、本人の収入に応じて毎月の返済額が調整されるため、収入が低い状況であれば返済額を抑えて、生活費に回せるお金が増えます。また、年収が上がれば返済額も増えますが、収入の9%が上限になるため、生活に大きな支障をきたすことは考えにくいです。
所得連動返還方式への変更は平成29年度（2017年度）以降に第一種奨学金に採用された場合のみで、それ以前の奨学金や第二種奨学金には適用されないことに注意が必要です。
毎月の返還額を少なくする（減額返還制度）
返済期間を延長するかわりに、毎月の返済額を少なく変更することも可能です。減額返還制度は、もともと被災者や傷病、経済的な理由により、返済が困難になった人向けの救済措置です。この制度を利用できれば、毎月の家計の負担を減らせる可能性があります。
例えば、15年の返済予定を20年に延長すれば、毎月の返済額は約25%減少します。
この制度はすべての人が利用できるわけではなく、一定の収入基準など、証明書を提出して審査を受ける必要があります。また、制度のデメリットとしては、第二種奨学金（有利子）の場合は、期間を延長することで利子分だけ総返済額は増えることです。結婚後の家計のやりくり、将来のライフプランを考慮に入れて慎重に判断しましょう。
結婚後に返済が困難になった場合の救済制度
失業や病気など、やむを得ない事情で返済が困難になった場合は、返済猶予制度を利用できます。これは、最長で10年間（通算）返済を猶予してくれる制度です。例えば、結婚後に出産・育児で一時的に収入が減少した場合、この制度を利用することで、その期間の返済を先送りにできます。
返済猶予制度は、一定期間、返還を先送りする制度で、本来返還すべき元金や利子が免除されるわけではありません。また、猶予期間中も利子は発生するため、返済猶予制度を利用すると、完済までの総返済額は増加する場合があります。借入は可能な限り早期の返済を目指すことが基本となります。結婚後の家計状況をみて、減額返還制度の利用も考えて、できるだけ返済を進めていきましょう。
家計管理の工夫
結婚後に奨学金の返済が問題となるのは、実はそれ以外の支出（負担）が影響していることも少なくないです。
収入側の見直し
まずは、家計の収入サイドから。もし、奨学金の返済をしていることで生活費がカツカツになっているのであれば、可能であればズバリ、共働きを検討しましょう。収入が増えれば、奨学金の返済と生活費のバランスをとる一番の近道です。共働きにはキャリアを作っていくことで将来の収入増につながることや、結婚（その後の出産育児などの）後も、社会とのつながりを維持していけるなど、金銭面以外のメリットも多いです。
また、一方の給与を生活費に、もう一方の給与を奨学金返済と貯蓄に充てるなど、明確な役割分担をするなどの工夫も、家計をきちんと管理するポイントのひとつです。
奨学金の返済に不十分な年収となっているときは、さらに収入を増やすために転職を考えてみることもよいでしょう。
すでに共働きをしていても、十分な生活費を捻出できないという場合は、次に支出側も見直してみましょう。
支出側の見直し
支出の見直しも効果的です。
携帯電話やインターネットの契約を見直したり、自炊を増やしたりすることで、大きな節約ができます。例えば、大手キャリアから格安SIMに変更するだけで、月々数千円の節約になります。また、外食を週1回減らすだけで、月に1万円以上の節約になることもあります。可能であれば、娯楽費も見直しましょう。映画館ではなく動画配信サービスを利用したり、高価な趣味を見直したりするのも一つの案です。
これらの工夫で月に2〜3万円の節約ができれば、奨学金の返済が家計を圧迫しません。奨学金の返済後でも、家計にかなり余裕が出てくるのではないでしょうか。こうした小さな積み重ねが、幸せな結婚生活を築く上で大きな違いを生み出すのです。
ファイナンシャルプランナー（FP）への相談
奨学金の返済計画や家計の節約などは、専門家のアドバイスを受けることも非常に効果的です。
ファイナンシャルプランナーは奨学金や教育ローン、学費支払いや学資保険など、教育資金にも精通しているお金のプロです。客観的な視点から家計を分析し、相談者に合わせて最適な返済プランを提案してくれます。また、将来の資金計画もサポートしてくれるため、奨学金返済と結婚生活の両立に向けた具体的な道筋を立てやすくなります。
FPは収入や支出、ライフプランに基づいて、無理のない返済計画を提案してくれます。また、結婚後のライフステージの変化に応じた家計の見直しもサポートしてくれるため、長期的な視点で家計管理を行うことができるように変えていけます。
（相談無料）お金のプロにいつでも相談
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結婚後も奨学金の返済をサポートする制度
奨学金の返済に悩んでいる方々が、受けられる支援制度があります。結婚の破談という結末を迎える前に、サポートを受けることを検討してみましょう。
ここでは、あまり知られていないものも含めて、奨学金返済を支援する制度をご紹介します。
自治体による奨学金返還支援制度
多くの自治体が、地域の人材確保を目的として奨学金返還支援制度を設けています。
例えば、島根県では最大200万円の奨学金返還額を助成する制度があります。この制度を利用するには、一定期間その地域に住み、地元の企業で働くことが条件となることが多いですが、Uターン就職を考えている方にとっては大きな支援となるでしょう。
具体的な支援内容は自治体によって異なりますが、年間30万円程度の助成を5年間行うといったケースが多いようです。ただし、募集人数に限りがあることが多いので、早めに情報を集めて申し込むことが大切です。
日本学生支援機構のサイトでは、対象の団体を一覧でみられます。
自分の出身地や就職を考えている地域の自治体のサイトも確認してみましょう。思わぬ支援制度が見つかることもあります。
企業の奨学金返済支援制度
最近では、従業員の奨学金返済を支援する企業が増えています。この制度を導入している企業では、毎月の奨学金返済額の一部を会社が負担してくれます。例えば、月々の返済額の半額（上限2万円）を5年間支援するといった具合です。
この制度は、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上を目的としているので、企業にとってもメリットのある仕組みです。大手企業だけでなく、最近は中小企業でもこの制度を導入しているところが増えています。求人情報をチェックする際は、ぜひ福利厚生の欄に注目してみてください。ただし、一定期間の勤務が条件となることが多いので、その点は注意が必要です。
これらの制度を上手に活用することで、奨学金返済の負担を大きく軽減できる可能性があります。どの制度を利用するにせよ、定員や締切があることもあり、早めの情報収集と行動するのをおすすめしています。
奨学金の結婚への影響は大、でも両立は可能
奨学金があっても、必ずしも結婚ができないというわけではありません。確かに、奨学金返済が結婚後の生活の障壁になることはありますが、適切な計画と工夫次第で両立は十分に可能です。
返済計画の見直し、家計管理の工夫、そして各種支援制度の活用が鍵となります。特に、自治体や企業による返還支援制度は、大きな助けとなるでしょう。大切なのは、諦めずに情報を集め、行動を起こすことです。どのように行動したらいいか分からなくなったときは、お近くのFPやマネーの専門家に相談してみるのも一案です。
奨学金と向き合いながら、自分たちらしい結婚生活を築いていきましょう。
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