子育て世代の移住先として注目を集める北海道。豊かな自然のなかで子どもを育てられることはもちろん、首都圏と比べると住宅の価格もお手頃。さらに、地域ごとに充実した子育てサポートもあり、新しい生活を考えているファミリーの関心を集めています。
今回は、独自の支援策で子育て世帯を応援する5つの自治体をピックアップしてご紹介します。医療費助成や保育料の無償化、充実した教育環境など、それぞれの地域ならではの魅力をお伝えしていきましょう。
北海道で子育てしやすい地域【支援が手厚い自治体5選】
子育て世帯にやさしい5つの自治体と支援内容を詳しくご紹介します。
白糠(しらぬか)郡白糠町 ~充実した子育て支援と自然豊かな環境が魅力~
出典:白糠町公式ホームページ
釧路市から西へ約30kmに位置する白糠町は、子育て応援日本一の町を目指し、「太陽の手子育て支援」を実施しています。町内に設置された80以上の太陽光発電施設からの税収を活用し、手厚い支援策を実現しています。
白糠町は、北海道内では比較的降雪量が少なく、除雪の負担が軽い のが特徴です。町内には、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストア、診療所、歯科医院 などの生活必需施設が整っており、日常生活に必要な買い物はほぼ町内で済ませられます。
また、大きなお買い物は、車で約40分の釧路市まで行くことも多いようです。公共交通機関の本数は限られているため、自家用車での移動が一般的です。
教育面では、1年生から9年生までの一貫教育を採用 し、きめ細やかな学習支援を提供。放課後学習サポート では、専任講師による個別指導も実施されています。白糠高校では公営塾「久遠塾」 を設置し、ICT機器の整備や資格取得支援など、充実した教育環境を整えています。
【おもな子育て支援内容】
- 出産祝い金:10万円分のシラトピア商品券を支給(白糠町内40店舗以上の加盟店で使用可能)
- 医療費無料:18歳まで
- 保育料(副食給食費含む)無料
- 給食費無料
- 入学支援金の支給(小学校入学時2万円分、中学校入学時3万円分のシラトピア商品券)
【移住・住宅取得サポート】
- 新築用地に町有地を無償提供
- 新築住宅の固定資産税を減額
- 太陽のまち定住奨励助成金の支給(最大250万円)
白糠町での暮らしを試してみたい方には移住体験も用意。1週間6,800円で生活用品が整った町営団地を借りられます。(※別途、共用部分管理費1,000円必要)
参考:白糠町公式ホームページ
子育て応援日本一の町へ「太陽の手子育て支援」
移住・定住をサポートします
ちょっと暮らしについて
函館市 ~温暖な気候と充実した都市機能を備えた歴史ある街~
出典:函館市公式ホームページ
北海道の南端に位置する函館市は、美しい夜景と異国情緒あふれる街並みで知られる観光都市です。北海道内では比較的温暖な気候で、1月の平均気温は-2.4℃と過ごしやすく、積雪も少なくなっています。
交通面では、市内を網羅する路面電車やバスなど公共交通機関が充実しており、JR函館駅からは新幹線や在来線で東京や札幌へのアクセスも便利です。医療体制も整っており、多くの医療機関に加え、年中無休の夜間救急も実施されています。
教育環境も充実しており、待機児童0の幼稚園、認定こども園 をはじめ、複数の大学や短大、特色ある高校が立地 しているのも魅力。子育ての相談窓口も市内各所に設置され、子育て世帯を手厚くサポートしています。
【おもな子育て支援内容】
- 児童手当(3歳未満:15,000円、中学生まで:10,000円※所得制限あり)
- 医療費無料:高校卒業まで
- 小学校入学時に祝金10万円を支給
- 中学校卒業生入学準備等給付金:3万円(所得制限あり、第3子以降は所得制限なし)
【移住・住宅取得サポート】
- ヤングファミリー住まいりんぐ支援補助金(上限月額1万5千円)※所得制限あり
- まちなか住宅建築取得費補助金(最大200万円)
- 移住支援金(最大100万円、18歳未満の子ども一人につき最大100万円を追加支給)
ほかにも、移住・定住サポート団体による情報交換の場の提供や、レクリエーション活動の実施もあります。また、首都圏にも移住相談窓口を設置しているので気軽に相談できます。
参考:
函館市 子ども・子育て情報「はこすく」
函館市移住定住ナビ
上川郡東川町 ~大雪山の麓で豊かな自然と文化が息づく住みよい街~
出典:東川町文化ギャラリー
北海道のほぼ中央に位置する東川町は、2024年の「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」で全国第1位 に選ばれた、人口約8,000人の小さな町です。
大雪山国立公園の麓に位置し、豊富な天然水に恵まれており、全国でも珍しい上水道のない町として有名です。東川町は、1985年に「写真の町」宣言をしました。写真文化を地域振興の核として発展を続けており、美しい景観と住みやすい環境を求めて、クラフト作家や写真家などのアーティストも多く移住しています。近年は飲食店や雑貨店なども増加し、町に新たな魅力を加えています。
スーパー、ドラッグストア、コンビニ、ホームセンターなどの商業施設が揃い 、診療所や歯科医院もあるため、日常生活に不便を感じることは少ないでしょう。旭川市までは車で約22分、旭川空港へは約13分と近く、大きな買い物や総合病院への通院も容易です。
教育面では「東川スタイル」と呼ばれる独自の教育環境を整備。幼保一元化された幼児センター、オープン教室方式の小学校、本物の芸術作品に触れる機会の提供など、子どもたちの主体的な学びを支援しています。また、誕生時と中学校卒業時に木製椅子のプレゼントも。
【おもな子育て支援内容】
- 医療費無料:18歳まで
- 児童手当(3歳未満:15,000円、3~12歳の第1・2子:10,000円、第3子以降:15,000円、中学生:一律10,000円 ※一定所得以上は一律5,000円)
- 不妊治療費助成:保険適用分の自己負担額全額を助成(対象要件あり。治療開始前書類提出が必要)
【移住・住宅取得サポート】
- 移住支援金(単身以外の世帯:100万円+18歳未満1人につき100万円)
新規転入世帯に東川産のお米「ななつぼし」5kgや、住宅建築者への苗木のプレゼントなどオリジナルのおもてなしも。また、移住体験施設の運営もおこなっています。
参考:東川町公式ホームページ
子どものために
移住支援金の交付について
移住体験
札幌市 ~都市機能と自然が調和する、北海道の政令指定都市~
出典:札幌観光協会
北海道石狩平野の南西部に位置する札幌市は、充実した都市インフラと、豊かな自然環境が調和した街です。新千歳空港から快速列車で37分、高速バスで60分という好アクセスに加え、市内は3路線の地下鉄とJRが網羅し、便利な交通網が発達しています。
商業施設も充実しており、札幌駅直結の「札幌ステラプレイス」をはじめとする大型ショッピングモールが点在し、買い物に困りません。また、円山動物園やサンピアザ水族館といった大型施設から、大通公園やモエレ沼公園、前田森林公園まで、家族で楽しめるレジャースポットも豊富です。
気候は春から秋にかけては過ごしやすいのですが、冬季は積雪があるため生活には少し慣れが必要かもしれません。
【おもな子育て支援内容】
- 妊婦健診費用の一部を公費負担
- 子ども医療費助成(中学校卒業まで。令和7年4月から高校卒業までに拡大予定)
- 児童手当の支給(3歳未満:15,000円、3~12歳の第1・2子:10,000円、第3子以降:15,000円、中学生:一律10,000円※所得制限あり)
- 地下鉄での移動時、保護者(小学生以上)1人につき幼児4人まで無料
【移住・住宅取得サポート】
- 東京圏からの移住支援金制度(令和6年度受付は終了、令和7年度は未定)
移住支援金制度は、応募が多く予算上限に達しやすいため、札幌市公式ホームページを定期的に確認することをおすすめします。
参考:札幌市公式ホームページ
健康・福祉・子育て
UIJターン就職移住支援事業(移住支援金)
北斗市 ~新幹線が停車する便利な海辺の街~
出典:北斗市公式ホームページ
北海道の南部に位置する北斗市は、津軽海峡と函館湾に面した人口約4万人の街です。北海道新幹線新函館北斗駅があり、本州への玄関口として知られています。また、札幌からは車で約1時間半、JR札沼線で20~30分と道内の主要都市へのアクセスも良好です。
生活環境も整っており、大型ショッピングモールやスーパーマーケットなどの商業施設が充実。地元商店も多く、日常の買い物に不便を感じることはありません。医療面では、隣接する函館市に8つの総合病院 があり、子どもの急な体調不良にも対応できる環境が整っています。
子育て環境も充実しており、市内各地域に保育所・幼稚園・認定こども園が12か所、放課後児童クラブが17か所設置されているため、働く子育て世代も安心して暮らすことができ ます。
【おもな子育て支援内容】
- 出産・子育て応援給付金(妊娠後5万円、出産後5万円)
- 幼稚園、保育所、認定子ども園の保育料無料(3歳から小学校就学前まで)
- 児童手当(所得制限なし)
3歳未満:第1子・第2子15,000円、第3子以降30,000円
3歳から高校生年代まで:第1子・第2子10,000円、第3子以降30,000円
【移住・住宅取得サポート】
- UIJターン新規就業支援事業(単身以外の世帯:100万円+18歳未満の1人につき100万円)
- 移住就業支援交付金(北斗市独自制度:認定事業者に正規雇用として採用された方に10万円)
- 空き家バンク利活用事業補助金(北斗市独自制度:最大100万円)
移住体験ツアーでは、参加者向けにフェリー20%割引制度もあるので、のんびりフェリーで訪れるのも良さそうです。
参考:北斗市公式ホームページ
子育て支援
移住・定住
移住・定住ポータルサイト
北海道の住宅取得・移住給付金の内容
北海道は、首都圏と比べてマイホームの取得がしやすい地域です。東京では一戸建ての価格相場が5,000万円を超える地域が多い 一方、北海道では、中心都市である札幌でも3,000万円以内 の物件が豊富にあり、住宅購入のハードルが比較的低くなっています。
さらに、北海道内の各自治体では、地域の活性化や子育て世帯の定住促進を目的とした住宅支援制度を設けています。これらの支援制度を活用することで、より手の届きやすい価格での住宅取得が可能です。ここでは、特徴的な支援制度をいくつかご紹介します。
【美深町】快適な住まいづくりと商工業振興事業補助金
美深町では、町民および移住者を対象に、自己居住用の新築や住宅改修に対して最大500万円の補助金を支給しています。快適な住環境の整備を通じて定住促進を図ることを目的としています。
美瑛町「美深町快適な住まいづくりと商工業振興事業補助金のお知らせ」
【南幌町】子育て世代住宅建築費助成事業
南幌町では、子育て世代の住宅取得を支援するため、上限200万円の助成金制度を設けています。対象は、中学生以下の子どもがいる世帯、または夫婦ともに40歳未満の世帯です。ただし、床面積が50平方メートル以上の新築住宅であることが条件となっています。
南幌町「子育て世代に最大200万円の住宅建築費を助成します!」
【岩内町】新築住宅取得補助事業
岩内町では、若年夫婦世帯、子育て世帯、転入世帯を対象に、町内での持ち家建設・購入に対して上限150万円の補助金を支給しています。この制度により、定住促進と町の活性化を目指しています。
【雨竜町】こどもエコすまいる支援事業
雨竜町では、子育て世帯の転入促進とゼロカーボンの推進を目的として、上限500万円の支援制度を実施しています。高い省エネ性能を有する新築住宅の取得を対象とし、要件を満たした転入世帯に助成金が交付されます。
北海道なら子育てしやすい街がきっと見つかる!
出典:東川町公式ホームページ
北海道内の各自治体では、子育て世代の定住促進に向けて、さまざまな支援制度を展開しています。医療費の無料化や保育料の軽減といった基本的な支援に加え、白糠町の「太陽の手子育て支援」や東川町の「東川スタイル」など、地域の特色を活かした独自の取り組みも。
さらに、住宅取得に関する支援制度も充実しており、最大500万円の補助金を用意している自治体もあります。都会とは一味違う暮らしと、手厚い支援制度を活用して、理想の子育て環境を見つけてみてはいかがでしょうか。