大学生の一人暮らしでは、食費にかけるお金で悩んでいる方も少なくありません。
この記事では、ファイナンシャルプランナーとして様々な家計の見直しをしてきた経験と、実際の大学生を対象にした調査結果をもとに、具体的にどれくらいの食費がかかるのか、どうやって節約するのかをお伝えしています。
単なる節約だけではなく、家計の管理法、健康的にたくさん食べられる方法まで徹底解説。バランスの取れた食生活を提案しています。一人暮らしを始めたばかりの方はもちろん、仕送りの金額に悩む親御さんにもお役立ていただける内容です。この記事を読むことで、一人暮らしの食費の悩みが少しでも解消されることを願っています。
記事のポイント
1. 大学生の平均的な食費と目安
- 全国平均は月額25,880円(収入の約20%)
- 地域や生活スタイルにより変動あり
2. 効果的な食費節約の方法
- 買い物は計画的に(上手な節約買いの方法、簡単な家計管理の仕方、冷凍庫のススメ)
- 自炊で節約する(簡単レシピの活用、作り置き)
- 外食を工夫する(学食、クーポン)
3. 過度な節約のリスクと健康的なバランス
- 栄養不足に注意
- 心理的ストレスへの悪影響
大学生一人暮らしの食費の平均
一人暮らしの大学生の食費は実際にどれくらいかかるのでしょうか?最新の調査結果をもとに、詳しく見ていきましょう。
全国大学生活協同組合連合会が実施した第59回学生生活実態調査(2024年3月発表)によると、一人暮らしの学生の平均的な食費は、月額25,880円となっています。
この金額は、一人暮らしをしている学生の総支出127,500円の20.3%を占めています。食費が学生の生活費の中でも大きな割合を占めていることがわかりますね。
参考:全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連) 第59回学生生活実態調査
食費には地域差がある
上記の調査結果は全国平均ですが、実際には大きな地域差があります。例えば・・・
- 東京や大阪などの大都市圏:全国平均よりも15〜20%程度高い
- 人口が少ない地方都市:全国平均よりも10〜15%程度低い
都会は物価が高いため、どうしても食費が嵩んでしまう傾向にあります。スーパーやコンビニの価格、外食の値段なども地域によって異なるため、生活する地域によって食費に差が出るのです。
参考:統計局 家計調査
<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額、購入数量及び平均価格
「都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量」より、都道府県別の「食料」の金額を比較して算出
個人の生活スタイルによる違い
さらに、一人暮らしの食費は個人の生活スタイルによっても大きく変わってきます。
自炊派の人は平均よりも食費を抑えられ、逆に外食派の人は月に3万円以上かけていることも珍しくありません。
自炊をメインにすれば安い食材を使って好きな食事ができますし、計画的に節約した買い物ができるため、トータルで食費を抑えられます。とはいえ、毎日自炊するのも大変だという方や、そもそも自炊があまり得意ではない方も少なくないでしょう。
一方、外食派は手軽に食事を済ませられますが、自炊と比べてどうしても費用がかさみがちです。この後解説するように、学食や学割・クーポンをうまく活用すれば、自炊と同じくらい食費を抑えられることもあります。
よくあるアイデアは、平日は作り置きした自炊料理を食べ、休日は作り置きを作りつつ外食をメインにして楽しむという方法です。メリハリをつけることは節約にも繋がるためおすすめしています。
収入による違い
食費の適切な金額は、個人の収入によって大きく異なります。自分の収入を基準に、どのくらいを食費にあてられるかが重要です。
食事を特に重視している人、例えば健康や美容に気を使っている方、あるいは食べることが大きな楽しみである方は、食費の割合を多少多くしても問題ありません。大切なのは、食費の金額が収入、価値観や生活スタイルに見合っているかどうかです。
大学生本人の収入源別に考えてみましょう。
- 仕送りが主な学生
全国大学生協連の調査によると、平均仕送り額は月額70,120円です。仕送りに余裕がある場合、食費にも余裕を持たせやすくなります。月7万円程度の仕送りであれば、約25〜30%くらいは食費に充てても問題ないでしょう。 - アルバイト収入が多い学生
調査では、アルバイト収入の平均は月額36,110円となっています。自身で稼いだお金を管理するため、食費を抑える傾向があります。アルバイト収入の15〜20%程度を食費に充てる学生が多いようです。
また、実家からの食材の仕送りがある学生は、さらに食費を抑えられる可能性があります。物価の安い地域にある実家から、米やレトルト食品、保存のきく食材などの仕送りしてもらうことで、食費の支出を大幅に減らせることもあります。
食費は収入の20%程度にするのがおすすめ
全国大学生協連の調査によると、全下宿生の平均収入(仕送りなども含む)は月額129,240円で、そのうち食費に充てられているのは25,880円です。これは収入の約20%に相当します。
収入の20%くらいであれば、食費を十分に確保しつつ、自由に使えるお金や貯金に回すお金も確保できることが多いです。
食費を抑えることでできること
- 趣味や娯楽に使うお金を増やせる
- 将来のための貯蓄に回せる
- 急な出費に備えることができる
つまり、食費を20%程度に抑えられれば、たとえ収入が不十分でも、豊かな学生生活につながっていきます。
大学生の食費を節約するテクニック
ここでは、実践しやすい食費節約のコツをいくつかご紹介します。これらを参考に、自分に合った方法を見つけてみてください。
計画的な買い物で節約
- 買い物リストを作る
- まとめ買いを活用する
- スーパーのタイムセールを利用する
- 冷凍庫をうまく活用する
計画的な買い物は食費節約の基本です。買い物に行く前に冷蔵庫の中身をチェックし、必要なものをリストアップしましょう。これにより、無駄な買い物や衝動買いをかなりの割合で防ぐことができます。
また、保存のきく食品はセール時にまとめ買いすると更に節約につながります。スーパーのタイムセールも上手に活用しましょう。夕方や閉店間際は、生鮮食品が大幅に値下げされていることが多いので、買い物のタイミングも工夫してみましょう。
冷凍庫の活用も重要なポイントです。肉や魚、野菜など、セールで安く購入した食材を小分けにして冷凍保存しておけば、長期間にわたって活用できます。さらに買ったものを自分で下処理をしてから冷凍しておくと、調理時間の短縮にもなり一石二鳥です。
クレジットカードと家計簿アプリで家計管理をかんたんに
食費を効果的に管理するには、クレジットカードと家計簿アプリを組み合わせる方法が一番労力が少なく、簡単にできるためおすすめしています。忙しい大学生にとって、時間をかけずに家計の管理ができるこの方法は強い味方になるはずです。
家計簿アプリを上手に活用する食費管理の概要は次の通り。
- 生活費決済用のクレジットカードを1枚選んで発行する
- 家計簿アプリをインストールし、クレジットカードなどを連携させる
- 食費の支払いはできるだけ1で発行したクレジットカードで支払う
- 定期的にアプリで支出状況を確認し、振り返りしてみる
まず、食費の支払いにクレジットカードを活用することから始めましょう。生活費全般の支払いにクレジットカードを使用すると、全ての支出が自動的に記録されるため、アプリへの面倒な手入力が不要になります。さらに、現金支払いには無いメリットとして、クレジットカードなら、ポイントやキャッシュバックで数%程度の還元を受けられるのもあります。重要なのは、できるだけ一枚のクレジットカードにまとめること。複数のカードを使うと管理が難しくなりますが、一枚に集約することで、お金の支出が把握しやすくなります。
次に、家計簿アプリを選びます。人気のある定番アプリには、マネーフォワード、Zaim、家計簿Freeeなどがあります。これらのアプリでは、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどと連携されて、使ったお金が自動で記録されます。一度設定してしまえば、何もしなくても日々の支出が自動的に記録され、分類されていきます。例えば、スーパーでの買い物は「食料品」に、Amazonでの買い物は「日用品」に分類、といった具合です。手作業での入力が必要なのは、現金支払いのときや、アプリが対応していない電子マネーだけです。
アプリで自動連携された支出データは、アプリの機能を使えば、食費の内訳(外食、食材購入など)を簡単に確認したり、月ごとの推移をグラフで見て傾向を見られたりもできます。アプリを入れるまでの小さな手間をかけるだけで、自動で家計管理ができるようになりますよ。
ただし、クレジットカードを使う際は計画的な利用を心がけ、収入以上の利用にならないよう注意しましょう。特に、分割払いやリボ払いは通常のショッピングローンよりも金利が高いことがあるので、できるだけ避けるようにしましょう。
学生の1枚目におすすめ「楽天カード」 生活費や趣味での支払いで便利で得するクレジットカードですが、学生でも発行できるのか疑問に思う方も少なくありません。学生が取得しやすいクレジットカードとして、楽天カードをおすすめしています。学生なら、年収が0円でも申し込みが可能で、ポイント還元率も1%と高いです。年会費も無料なので、ノーリスクでクレジットカードを持てるのも大きなメリットです。 特徴- 対象:高校生を除く18歳以上(大学生、専門学校生、短大生、大学院生等)
- 還元率:1%(一部の支払いを除く)
- 年会費:永年無料
- 年収:0円でも申し込み可(収入のない学生は年収0円と入力)
- 18~19歳の場合、親権者の同意が必要(電話での確認のみ)
自炊のすすめ
- 簡単レシピを覚える
- 作り置きを活用する
- 安くてもお腹にたまる食材を活用する
自炊は食費節約の王道です。最初は簡単なレシピから始めましょう。野菜炒め、味噌汁などは、材料も少なく調理も簡単で栄養価も高いです。慣れてきたら、作り置きにも挑戦してみてください。休日にまとめて調理しておけば、平日の忙しい日でも手軽に食事ができます。
安くてもお腹にたまる食材を知っておくのも役立ちます。例えば、じゃがいも、豆類などは比較的安価で、少量でもお腹にたまりやすい食材です。定期的にこれらを主食にし、野菜や安めのたんぱく源(卵、鶏肉の胸肉、豆腐など)を組み合わせることで、栄養バランスの良い食事を安く作ることができます。
また、クックパッドなどのレシピサイトを活用すれば、これらの食材を使った節約レシピがたくさん見つけられるので、食事の幅が広がります。
節約レシピサイトの例
- 1食200円以内で 節約レシピ おすすめの30選を紹介 | クラシル
- 節約レシピ - ミラクルレシピ|プロの品質とプロの価格の業務スーパー
- 安くて旨い!人気のボリューム節約レシピ30選!の人気レシピ・作り方 | DELISH KITCHEN
自炊は最初は大変に感じるかもしれませんが、慣れてくると料理を考えるのが楽しくなったり、料理のスキルアップにもつながりますよ。
外食やコンビニ利用でも節制できる
- 学食を賢く使う
- コンビニ食の上手な選び方
- 外食時はクーポンや学割を利用する
- まかないが出る飲食店でアルバイトする
外食やコンビニ利用を完全に避けるのは難しいですが、賢く利用すれば食費の節約になります。
特に大学生なら、学食は栄養バランスが良く、比較的安価で量も多いのでおすすめです。定食やセットメニューを選ぶと、さらにお得になることも。
コンビニ利用時は、割高なお弁当やサンドイッチ類は避け、パンやおにぎりなどの主食を買って副菜は小鉢を選んだり、自炊するなど、組み合わせを工夫しましょう。外食する際は、スマートフォンアプリでクーポンをチェックするのもおすすめです。
セブンイレブン
セブンイレブン公式アプリ
ローソン
Pontaアプリ
ファミリーマート
ファミマのアプリ
さらに、まかないが出る飲食店でアルバイトするのも一つの方法です。働きながら食事が提供されるので、食費の節約になるだけでなく、収入も得られます。また、飲食店での経験は、自炊のスキルアップにもつながるかもしれませんね。
過度な節制は厳禁!健康に悪影響も
大学生の一人暮らしでは食費の節約は大切ですが、行き過ぎた節約は健康に悪影響があります。
過度の節約による短期的な経済的利益よりも、健康を損なって学業や仕事の効率が落ちたり、通院することになる損失の方が大きくなることもあります。自分の体と相談しながら、楽しく健康的な食生活を心がけることが、充実した学生生活につながります。
栄養不足になるリスクも
極端な食費の節約は栄養バランスの崩れを引き起こします。
- たんぱく質不足:筋力低下や免疫力の低下を招く可能性があります。
- ビタミン・ミネラル不足:疲労感の増加や肌荒れ、さらには貧血などの健康問題につながることがあります。
- 食物繊維不足:便秘や腸内環境の悪化を引き起こす可能性があります。
例えば、インスタントラーメンやパンばかりの食生活を続けると、これらの栄養素が不足しがちに。大学生の一人暮らしの人には多い傾向です。確かに食費は抑えられるかもしれませんが、長期的には健康を害するリスクがあります。
栄養バランスを保つためには、たとえ食費を抑えていても、主食・主菜・副菜をバランスよく摂ることが大切です。豆腐や卵、缶詰の魚などは比較的安価でたんぱく質が摂取できる食品です。また、旬の野菜を買わなくても、冷凍野菜なら安くて、ビタミンやミネラル、食物繊維を手軽に摂ることができます。
もし、極端な疲労感や体調不良を感じたら、食生活を見直す良いタイミングです。必要に応じて、無料の大学の保健センターや栄養士に相談するのも良いでしょう。
心理的ストレスで学業へも影響!
過度の食費の節約は、心理面や学業にも悪い影響がある可能性があります。
- 心理的ストレスが増加:常に節約を意識するあまり、食事が楽しみではなくストレスの源になってしまうことがあります。
- 学業のパフォーマンスが低下
- 集中力の低下:十分な栄養が摂れていないと、授業中の集中力が低下したり、勉強の効率が落ちたりすることがあります
- 記憶力の低下:脳の働きを支える栄養素が不足すると、新しい情報の吸収や記憶の定着が難しくなる可能性があります
食事は単に栄養を摂取するだけでなく、楽しみや社交の機会でもあります。極端な節約をするあまり、日常生活から楽しみが減ってしまうと、心の健康を損なう可能性があります。しかも大学生の一人暮らしなら、なおさらです。また、栄養不足による体力低下は、長時間の勉強や試験期間中の体力勝負に悪影響を与えかねません。
大学生にとって学業は最も重要な活動の一つです。食費を節約するあまり、本来の目的である学業に支障をきたしては本末転倒です。最低限の栄養摂取は、勉強や将来の成功につながる自己投資だと考えることも大切ですよ。
大学生の一人暮らしの食費削減はできる!
大学生の食費節約は、計画的な買い物や自炊の習慣化など、様々な方法で実現できます。
食費は収入の約20%を目安に、自分に合った節約法を見つけましょう。ただし、過度の節約は栄養不足や心身の不調を招く恐れがあるので注意が必要です。適度に節約しつつ、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
一人暮らしでも食費をうまく節約できれば、趣味や貯金など他の支出に余裕が生まれます。食費管理は単なる節約ではなく、健康的で充実した学生生活を送るためのスキルです。ぜひ、ご紹介した方法を実践してみてくださいね。